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体育祭⑨
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「ま、まさかの出だしからとは……」
「ふぇえごめんね瑞貴君……」
多分傍から見たら凄くシュールな図だと思う。男子高校生二人が出だしからズッコケてるなんて。
傷はめちゃくちゃ痛むがまさかのもう片方も痛い。嫌な予感しかしないが今は見ないでおこう。
「とにかく、立って走るぞ……!」
「う、うん!」
よろよろと立ち上がり、息を合わせてゆっくりと走り始める。
他の組はもう抜かせない程離れていて、ゴールしている組もいた。
でも、別に一番は狙っていないし、ちゃんとゴール出来ればいい話だ。
周りから頑張れー、と声援を受けながらなんとかゴールに辿り着けた。
両膝が痛くてガクガクする。まるで産まれたての小鹿のようだ。
「瑞貴君、片足からも血出てる……!救護室行こ!」
「いや、もう無理歩けない……」
(いてぇ〜…めちゃくちゃいてぇよ歩きたくねぇ)
「じゃあ俺の背中乗って!おぶっていくから!」
「えっ、いや、それは流石に……」
「早く!傷口バイ菌入るから!!」
「お、おう……」
なんかめちゃくちゃやる気だ。このままじゃ埒が明かないので、おぶってもらう事にした。
俺より少し小さい灯架だけど、背中は少し大きかった。
嫌にならないし、ちょっとは安心する。
「俺重いけど大丈夫か…?」
「大丈夫、よく妹おぶってたから」
「妹いたんだ……」
「今中学生。最近反抗期っぽいけどね」
だから少しだけ大きく見えるのか。
なんだか、少しだけ灯架のことを知れたような気がした。
「じゃあ、俺次も出るから先に行くね」
「分かった、頑張れよ。ありがとうな」
備えつけのテントの救護室に運ばれ、膝を治療してもらう。
幸いそこまで傷は深くなかったがやはりガーゼを貼られた。
めちゃくちゃ痛い。
消毒液がこの時ばかりは恨めしい。染みて仕方がない。
「瑞貴!!」
「あ、綾」
走ってきたのか、息を切らした綾が入ってきた。
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