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体育祭⑪
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救護室を出て、シートのとこまで綾におぶってもらう。
途中女子の冷たい視線がとても痛かったが何も見てないフリをする。
女子って男にもあんな視線送るのかよ。
「綾、次借り物競争だろ?早く行かなくていいの?」
「いいのいいの、焦って転ぶの嫌だし。瑞貴を運んでから走れば大丈夫でしょ」
「……なんか、ごめんね」
「なんで謝るの〜?瑞貴は怪我人なんだし、大人しく甘えてていーの」
なんだか照れくさくなって、首元に顔を埋めて隠す。
顔がぷしゅ〜って音を立てて赤くなりそう。
「瑞貴〜くすぐったい」
「綾の馬鹿……」
「えっなんで?」
「これ以上好きになったらどうすんだよ」
「いやこれ以上好きになってよ、もっと好きになって」
「やだ恥ずかしい……大好き」
耳元で囁いてやると、瑞貴が固まった。
俺、なんかまずいことした……?
よく見ると、耳元が赤い。これ、照れてるのかな。
「瑞貴の方がよっぽど恥ずかしいよ……」
「?」
『次は〜借り物競争です!観客の皆さ〜ん何が出てもいいようにしっかり用意してくださいね〜』
放送係が変わり、陽気な男の声が聞こえた。シートにゆっくりと座らされ、頭を撫でられる。
「それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。頑張れよ」
「へへっ、頑張るねっ」
そう言って、手を振りながらスタート地点へと走っていった。
なんか、ほんと犬っぽい。
周りを見ると、女子が鞄の中をゴソゴソと漁り何がきてもいいように準備していた。
まぁ綾が出るからには自分のを取って欲しいんだろうな……。
『さぁ〜借り物競争、何が必要とされるか変わらない女子にとっては嬉しい競技!
なんと、あの大人気綾君が出場します!さぁさぁ女子の皆さん、存分に歓声を!!
一レース目の方、スタート地点へ!』
実況も中々熱が入ってる。まあ綾は学年だけでなくこの学校全体で人気が高い。
綾は二レース目らしい。声には出せないので、心の中で応援する。
一レース目が終わって、二レースに入る。
それぞれのコースの中間地点に、要望の書かれた紙が置いてある。
綾のやつはどんな内容なんだろう。
『さぁ、二レース目に参りましょう、位置について、よーい!』
乾いた音が鳴り響き、一斉に走り出す。出だしから綾は一番で、走り方もかっこよかった。
中間地点に辿り着くと、皆一斉に観客に呼びかける。
「誰か、日傘持ってる人いませんかー!?」
「ピンクの星柄のタオルー!!」
「綾くぅ〜ん、借り物何〜!?」
「私の貸すから何でも言ってぇ〜!!」
他の出場者には目もくれない女子達。全力に綾に声をかける。
しかし、綾は立ち止まって動かない。
そんなに難しい内容なのかな……?大丈夫か?
そう思った時、綾が動き出した。こちらに走ってきて、何故か俺の前に立ち止まる。
「あ、綾………?」
「瑞貴、ちょっとごめんね」
「?何が………ひっ!?」
「しっかり掴まってて」
今、何が起こったのだろう。俺、なんで浮いてるんだろう。
身体のすぐ横に綾の身体があって、密着している状態。
なんで、俺お姫様抱っこされてるの!?
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