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怖い
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「………」
授業を終え、俺達は二人で帰った。帰る時、女子達の視線が胸に刺さったが綾が隠すようにしてくれた。
嬉しいけど、今じゃ素直に喜べない。
家に帰り、制服から私服に着替えソファに座る。綾がホットミルクを入れてくて持ってきてくれた。
中に蜂蜜が混ぜてあって飲みやすい。少しだけ、心が和らいだ気がした。
少しだけ間があいて、綾が口を先に開いた。
「どうして、裏庭にいたの?」
「………女子達に、呼び出された。体育祭で言った意味ってどういう意味?って」
「瑞貴はなんて、答えたの?」
「答えられなかった。………俺と綾が付き合ってるって言ったら、女子達がどんな反応するのか怖かった」
俺は責められてもいい。気持ち悪いだなんて、罵られても構わない。
けど、綾にだけは迷惑かけたくない。元々不釣り合いな俺達だからこそ、怖い。
周りからの視線、言動、全てが綾に災いとなって降りかかるのが凄く怖い。
「男同士って、気持ち悪いんだってさ。……そうだよね、普通、男女だもんね」
「瑞貴……」
「俺ね、幸せ過ぎたのかな。綾と一緒にいれて幸せなのに、気持ちに気づいて恋人になって、これ以上の幸せ望んちゃいけないのかなって……っ」
言い終わる前に、綾に抱きしめられて途切れた。この時、初めて自分が涙を流していることに気づいた。
綾が強く、強く抱きしめてくるから。
また、甘えてしまいそうになって。
「あ、や」
「何も悪くない。好きなだけで気持ち悪いとかそんなの無い。
俺は瑞貴が好き。愛してる。それのどこが悪いのさ」
「でもっ、俺と綾じゃ」
「不釣り合いとか、そんなの関係無い。それとも、瑞貴は俺が顔が綺麗だけの性格悪い女の子と付き合えって言ってるの?」
「違うけど……でも、綾が傷つくのだけは、俺がやだっ」
「俺は大丈夫だから。俺だって、瑞貴が傷つくのは嫌だよ」
お願いだから一人で抱え込まないで、と目尻にキスを落としながら囁かれる。
つくづく俺は愛されてると自覚して、胸が苦しくなる。
寂しそうな顔をする綾の背中に手を回し、抱きしめ返す。
この時、これで済んだのなら良かった。
でも、俺はまだ理解しきれてなかった。
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