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被害
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「瑞貴君、大丈夫……?」
「え?」
「なんか、段々この世は終わります的な顔してる」
「それはそれでどんな顔だよ……大丈夫」
女子達の悪質ないじめは数日間続いた。悪口だけでなく物が消えたり、後ろから突き飛ばされかけたり。
いや、俺何もしてないのに。ここまで悪化するとは思わなかった。
綾に見つからないようにするから綾もこの事を知らない。
だから俺も綾に言ってない。
でも、ここまで来ると気丈に振る舞うのも辛くなってきた。
精神的に苦しい。
綾には付き合ってる事は言わないで欲しいと頼んだから言う事は無いだろう。
でも、言ってしまった方が楽なのではないかとすら思えてきた。
「ほんと、俺で良ければ相談して?一人で抱え込むのは良くないよ…」
「ありがとう……でも、これは俺達の問題だから巻き込む訳にはいかないよ」
「そう……辛くなったら、言ってね」
灯架に相談したいけど、流石に巻き込めない。間違えたら灯架にまで被害が及んでしまう。
でも、ずっとこのままじゃ俺の心が持たないだろうな。
そう思った時、頭上から冷たい白い液体がこぼされた。
「っ、」
「あっごめぇ〜ん牛乳が滑っちゃった〜」
「ちょっと何してんの〜」
「でもこれ頭から精液被ってるみたいじゃね?」
「あっそれ言えてる〜!!」
女子達の声が癇に障る。もう流石に限界だよ。
頭から被った牛乳が冷たい。同時に心も冷たくなっていく。
「てかさ、坂秋っていつも葉山と一緒にいるよねぇ〜」
「確かに昼休み一緒だよね〜、もしかして、付き合ってるとかっ!?」
「えっまじ〜!?」
「ちょっ……」
灯架とは友達だ。それだけは絶対否定しなければ。そう思って席を立った時、ガタンッ、と大きな音がした。
それは、綾が席を立った音。
周りが静まり返って綾の方を見る。女子達も口を噤んで無言になった。
綾は無言でこちらへと歩いてきて、女子達を見下ろす。
その視線はいつの日か見たあの冷たい視線。
「ねぇ、見苦しいよ?そーゆう虐め止めな?」
「っ……い、行こっ」
言葉と視線の冷たさに耐えられなくなったのか女子達は一斉に教室を出ていった。
綾がチラリ、とこちらを見たけどすぐ目線を外した。
やばい。綾が多分怒ってる。
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