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なんで言ってくれないの
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「瑞貴、ちゃんと説明して」
「………」
やはり、綾は怒ってた。怒られたのは初めてかもしれない。
家に帰るなり正座させられて今見下ろされてる状態。
口調はきついけど悲しそうな顔をしてる。
俺が悪いんだろうけど、迷惑をかけたくない一身だったからしょうがないと言いたい。
「別に、大したことじゃ無かったし…」
「大したことなかった?あれが?」
「っでも、綾には何も被害無いから大丈夫だって」
「ねぇ、俺がなんで怒ってるか分かってる?」
「っ………」
「そうやって抱え込むの瑞貴の悪い癖だよ。なんでちゃんと頼ってくれないの」
「……迷惑かけたくなくて」
「何のための恋人なのさ……迷惑かけてほしいよ、逆に辛いよ」
だって、綾が傷ついたら俺のせいでしょ?
俺のせいで、綾が辛い思いをするのなんて耐えられない。
綾は色んな人に愛されてるから。俺は影の隅っこだから別に耐えられるの。
「………瑞貴」
「な、何」
「付き合ってること、皆に言おう」
「!?な、んで、!?」
「これ以上は瑞貴がほんとに怪我するかもしれない。
だったら言った方がいいと思うよ」
「っ、どうして、綾は分かってくれないんだよ!?」
俺は立ち上がると鞄を持って玄関へと向かう。綾が手を掴んできたが振り払った。
「瑞貴」
「綾の馬鹿!!もう知らない!」
綾の顔を見れなかった。怖かった。
幻滅されたかもしれない。
家を飛び出して行く宛もなくトボトボと歩く。
途中公園を見つけ、立ち寄った。夕方になった公園には子供もいない。
ブランコに座り込み、空を見上げる。
突拍子に家を飛び出してしまい、綾はどうしてるだろう。
愛想を尽かされたかな。まだ怒ってるかな。
そう思うと急に寂しくなって心細くなってきた。胸が寒い。苦しい。
「どうしよう………」
「瑞貴、君?」
灯架の声がした。声がした方を見ると、スーパーの袋をぶら下げた灯架が立っていた。
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