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「そんなん、好きは好きに決まってんだろ」
階段の段差に座ってポテトを口に含む俺に、同じく段差に座ってたこ焼きを食う友達はサラッとそう言った。
「なんそれ」
「いや、お前がなんそれなんだが」
さっと返された返答に、俺はむぅと頬を膨らませた。
「大体お前って、いい顔してんじゃん。言ってないだけで、お前のこと好きなやつなんて結構いると思うよ」
「はあ?笑うそれ、告白なんて初めてされたし」
「ーえ、まじ?!」
「何その反応」
だって、本当のことだし。
そういや至って、告白とか、こんなふうにされたりすんだろうか?
男からされたって話は聞いたけど。
あんまそういう話、俺らしないしな…。
「お前って、なんかもったいないな」
「は?」
なにが。
そのあと、至たちと会って、色々話して花火を見てから、友達の奴らと解散した。
家まであと数分の帰り道の距離で、至と家が近い俺は当たり前だけど、2人きりになった。
なーんか、ちょっと疲れた。
「つーかもうすぐ学校か〜」
「だるいな。」
「だるい!」
至の一言に笑ってそう言うと、隣を歩く至も少しだけ笑った。
ていうか至って、いつの間にこんなに背伸びてたんだろ。
昔はむしろ、俺のが背でかかったくらいなのに。
「あんま、お前と祭りまわれなかったな」
至のポツリと吐いた一言に、俺はちらと横を振り向く。
「だよなぁ。俺、皆んなとワイワイもいいけど、至と2人でまわりたかったなー」
「…なんそれ」
「え?だめか?だって俺ら、昔からずっと2人で祭り行ってたじゃん。」
俺、なんか変なこと言ったかな。
「お前ってさ、」
「え?」
突然至がそう言って立ち止まる。
慌てて俺も同じように立ち止まると、至は口を再び開いて、しかしなにも言わず口を閉じた。
「やっぱ何でもない」
至はそれきり、あまり口を開かなかった。
至はまあ常に俺の話を聞くばっかりで、自分のことなんてそんなに話さないし、無口なのはまあ、…昔からだから、いいんだけど。
「じゃあ。」
「おお」
片手を上げると、同じように至も片手を上げて自分の家へと入っていった。
そういや、今日俺女の子に告白されたんだぜ、
…て、言うの忘れてたな。
そんなことを思いながら俺も同じように自分の家へと入っていくのだった。
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