アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
季節は、秋を迎えた。
本来なら文化祭があるんだけど、俺たち三年は受験生だから今年はない。
その代わり、模試とか受験の勉強をしろっつうわけなんだけど。
「至〜帰るなら一緒に帰んない?」
放課後、靴箱で外履きに履き替える至を見つけて、俺は声をかける。
「あぁ」
隣を歩きながらちらと至を見ると、至はいたって普通の顔をして前を向いていた。
何となくだけど、俺の思い過ごしかもしんないけど、最近至は俺によそよそしい、気がする。
「てか、今日家行ってい?」
「え?」
尋ねると、至はしばし俺を見て、それから前を向いて黙った。
「今日は、勉強するから」
至の言葉に何故だか心臓がずきりとした。
「へ、へぇ〜そっか」
いやいや、俺、アホか。至にだってそりゃ、用事はあるし。親の手伝いだって、勉強だってあるし。
いつでも俺が家に行けるなんてそんな、ありえないし。
ありえないし。
「……」
「……」
あれ。
何でこんなに、黙るんだろう。
何でこんなに、話が続かないんだろう。
何でそんなに、至は、俺を見ないんだろう。
何でこんなに、
「じゃ」
「…うん。」
至、お前に、
こんなにも距離を感じる………ー?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 326