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「さっむ」
風がとても冷たい季節に変わってきた。
今年は冬が来るのが早い気がする。
まあ…受験勉強なんてしてたから余計にそう感じるのかな。
「はよー」
「はよーっす」
クラスはいつもと変わらない。
俺も、特に変わったことはない。
俺と至の仲も、特に変わったところなんて全然ないんだ…ー。
「この後、どっか寄って帰んねー?」
放課後、友達の言う声に、周りにいた奴らが駆け寄ってきて賛同した。
「水島はどうすんの?」
「んー」
行ったって、ゲーセン行って騒いで帰るだけだしなぁ…。
「俺、パス。帰るわ」
カタンと席を立ってそれだけ言うと俺は教室を出た。
なんか最近、いつにも増してテンションが下がる…。
まあ、帰って勉強でもするか…。俺、偉いなぁ。
「なん?おい、水島なんか元気なくね」
「ま、近頃彼氏が冷たいみたいだからね」
「彼氏って…ああ、藤月。」
「俺ほんとたまに、あいつら本当にカレカノなんじゃないかって、すごい疑う時あるよ…まじで」
ーー
ー
つーか、何で俺が、わざわざ…
ー〝ちょっと春、至くんのとこ行ってこの柿渡してきて。前に至くんのお母さんから林檎沢山もらったのよ〜だから、お願いね。〟
夜。母親にそう言われて、俺は断ることもできず、柿をいくつか渡されて、俺は歩いて数分の場所にある至の家の前にいた。
つーか、しらねぇ〜。これって、親同士のやることなんじゃねぇのかよ…。
……まあ、そもそも俺と至が仲良いから、母さんも至の母さんとこうやって仲が良くなったってわけなんだろうけど…。
「……」
あーもう…っ!さっさと渡す!そんで帰る!寒い!
ピンポーン
「ーあら。はるくん」
インターホンを押すと、すぐに至の母親が出てきた。
「こんばんは、あの、母が柿を…」
「あらあらまあまあ、こんなに。ありがとうね〜!」
「じゃあ、俺はこれで…」
お礼の言葉に少し笑ってそう言うと、俺はそのまま帰ろうとして、待って!と声をかけられ足を止める。
「最近、前みたいに家にあまり来なくなったのね」
「え…」
少し寂しげに笑う至の母親に、俺は何も言えずただ見つめ返す。
「まあ…はるくんも、もう高校三年生だものね。昔は2人一緒にいない時なんてなかったくらいなのに、」
昔……ーー
「でも、たまにはウチにも来て。夕飯、たまには食べていって。私のワガママかもしれないけど」
「ーそんな、こと…ないです。来ます、食べに」
「…はるくん。ありがとう…。いつも、ウチの子と仲良くしてくれて、ありがとうね。」
…違う、違うんです。お母さん…。
「何も面白みないし、無愛想な子だけど、はるくん、これからも至のことよろしくね…ーー」
…至は、皆んなに、愛されてます。
俺じゃなく、俺以外の奴らからだってたくさん…
俺がいなくたってあいつは、
慕われて、愛されているんです。
寧ろ仲良くしてもらってるのは、俺の方なんです、お母さん……ー
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