アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
16
-
ぼうっとしてたら、月日はいつの間にか、12月…ー。
クリスマスの曲が耳につくと思ったら、もうそんな時期か…。
雪、今年は降んのかなぁ。
「ただいま」
「あっ兄ちゃんおかえり〜」
家に帰ると、ルンルンとした弟が1人、携帯を手にテレビを見てた。
「あれ、母さんは」
「今日仕事遅いってー。父さんは夜勤だし〜」
…ふーん。
てことは、なんかテキトーに作れってことか…だるいなぁもう。
「兄ちゃんクリスマスの予定は?」
腕まくりをして米を研いでいると、弟が大声でそう尋ねてくる。
「はあー?ないよそんなもん」
「でも前に告られたって言ってたじゃん」
って、何でそれをお前が知って…て、あぁいやいや、俺が自分から言ったんだっけ。だって、普通に嬉しかったし、自慢したかったし…。
「俺、最近告られたコとクリスマスデートするぜ〜」
「〜あぁそうどうぞ行ってらっしゃい」
俺と違って、弟の白兎は相当モテる。たしか告白も、一ヶ月に一回はあるとかないとかだっけ?
兄の俺としては、どこに魅力があるんだかもうさっぱり分からないんだがな。
「てか、どうせ今年もまたあいつと過ごすんだろ。至と」
続く弟の言葉に俺は顔を上げる。
「…いや、うーん」
「なに。え、あいつ彼女できたん?」
「さあ」
最近至と話してない…てわけでもないけど、こう、受験とかの関係であんまり会ってないからクリスマスがどーのって話なんてしてなかったな…。
「いや、てかあいつに彼女なんて無理でしょ。笑わないし、なにも面白いこと言わないし」
「…お前なぁ」
みんな、あいつのこと誤解してんだよなぁ…。たまには笑うし、たまには。
「あのさあ、兄ちゃんはそろそろあいつから離れるべきだって。お互いに1人だからって毎年一緒にクリスマスなんぞを過ごしてさ。んなのおかしいって」
「うっせえ。お前らの考えと俺らの考えは違うの」
にしても、今日の夕飯なに作ろう…。
「違うって何が?普通俺らの年って彼女と過ごすんだぜ、そーいうの」
「だーからんなの分かってるって」
俺をなんだと思ってんだ…。
「じゃあ彼女作ればいいじゃん。わざわざあいつに合わせなくてもさ」
冷蔵庫の扉を開けて、俺はパタンとその扉を閉めた。
合わせる…?
「兄ちゃんモテんのに、彼女作んないのって、あいつに合わせてるからだろ。」
「…は?」
何を…言って…ーー
「気なんか遣わなくていいじゃん。兄ちゃんは、兄ちゃんのしたいようにすればいいじゃん。あいつに合わせるから、ずっとホモって言われんじゃん」
……つーかまて、
俺がモテるだって…?
気なんか遣わなくて…って、
別に、俺はそんなつもり全然ない。
俺は、いまだって俺のしたいようにやってる。
だから、あいつとずっといるんじゃん。
それは、これからだってずっと、変わらない気持ちだよ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 326