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「はぁ…」
しんしんとした雪の降る中、ぞろぞろと中へ入っていく俺と同じ受験生たちを横目に見ながら、小さな息を1つ吐くと、俺も中へと続けて入った。
落ち込むこともあるけれど、そんな場合でもなかった。
何故なら今日はもう、センター試験当日だったからだ。
ーーーー
試験が無事終わって、家に帰る途中も、雪は降り続いてた。
雪は白くて、長らく積もると、いつも見ている光景を新鮮なものへと変えてくれるから好きだった。
だけど、試験当日になんだ、…この雪の量は。
いつも積もらない地面にさえ、雪が既に積もっている。
まあ試験に間に合わないこともなく終わったから、良いんだけどさ…。
「ただいま」
「春おかえり〜。外寒かったでしょ?試験は?」
「多分、大丈夫」
それだけ言うと、俺は自分の部屋のある二階へと上がった。
ベッドの上にどさっと体を仰向けに寝転ぶと、俺は手のひらを額に乗せて天井を見つめていた。
なんて言うか、…疲れたんだ。
久々にあんなに頭を使った気もするし、周りは知らない奴らばっかだし、それに、
そばに、あいつはいないしー。
「……」
いや、やめよう。今更こんなこと、考えるのは。
俺は頭をぶんぶんと横へと振った。
あいつには、あいつなりの考えがあって俺とは違う大学になったんだ。
応援しないと…、あいつの合格を。
俺は、あいつがそばにいなくなってもやっていかなきゃ。
自分で、これからやらなきゃ。
俺はあいつに、多分、依存し過ぎてるから…ー。
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