アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
34
-
ー
至の部屋に入り、至のベッドに座ると、至はティッシュを俺の元へと持って来た。
「はい。」
「…。…」
別に、もう泣いてないっつーの…。
その行動に俺はそう心の中で呟きながら、ティッシュの箱を受け取る。
「春は、素直だよな…ほんと昔っから。それが変わんないんだからすげぇよな」
穏やかな顔をして少し可笑しそうにして笑いながら言う至に、俺はムッとした顔をする。
「…どうゆう意味だコラ」
つまり、子ども扱いかよ…俺は。
むすっとしたままチーンと鼻水をティッシュで取ると、隣に至が座った。
「春は、本当に可愛いよ。」
それからふと言われたその言葉に俺は目を大きく開いた。
隣を振り向いたら、いつかのあの日のように至が俺を見てて、ドキッとしたけど、今日はすぐにパッと顔を逸らされた。
「…な、なに…意味わからん。」
俺も同じように顔を逸らし、下を向いて、かあっと頬を火照らせた。だってこんなこと、至から言われたことないし…。まず第一全然、わけ分かんないし…。
可愛い…って…。
「照れんなよ、」
「…な、ーはぁっ!?」
何なのこいつは!?
「こっちまで、…照れるじゃん」
続けて何か言おうと至の方を見たら、至は手を首裏辺りにやって、やっぱり顔はこちらに見せなかった。
俺はそんな至を見て、心臓が…音を立てて、鳴り止まなかった。
「お前は、純粋だし、素直だし、…それが嬉しい時もあるし、…辛い時もあるよ」
「…は?」
よくわからないことを言い出す至に、俺は思考を困惑させる。
「お前は、根本的に鈍いからな。」
だけど、そう言った至がすごく哀しそうな顔で笑うから、俺はそれに更に頭を悩ませるんだ。
もう俺とはこんなふうにいられない、だから今こうして至は俺に色々ぶっちゃけてる、普段こんなに話さない至がこんなに話してるその意味は、…俺の思ってるこの勝手な考え……で、合ってるのだろうか。
「一人暮らしって言っても、電車で2時間あれば来れる距離だぜ」
乗り換えいるけど、と淡々と言う至に俺は布団のシーツを握って横に振り向く。
「、遠いよ…!!」
じっと、至の目を見て行かないでと訴える。
だけど多分、いや絶対、至はそれをやめないだろう。至は何も考えてなさそうでいて、実はしっかり自分を持っていて、自分の夢に一途で、意思が強い。
俺はそれを分かっていて、至にこんなに縋ってんだ。
俺には至しか、いないから。
「……春、」
「……」
俺には、お前しか、いないから……ーー。
「……お前は、
…俺に、こだわり過ぎだ。」
ーえ………?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 326