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こだわり、…過ぎ………?
「…俺、もう決めたんだ。俺だってお前と離れたいわけじゃない。俺だってお前のこと好きだし…、もっとずっと近くにいたかったよ。だけど、」
なんで、…なんで。だったら、なんで…ー
「…俺がこれ以上お前のそばにいたら、多分、…お前に迷惑になるから…ー」
至は静かにその場を立って、そう言うと、俺の顔は見ずに部屋を出ようとした。
わかんない。
至の考えてることが、言っている意味が。
俺には何も、わからない。
だって、
「…俺だって好きだよ…ッ、お前のことっ!」
だってお前…、何言ってるか全然…わかんねぇもん…っっ!
再び流れてきた涙を流しながら至の方を見てそう言うと、向こう側を向いていた至がゆっくりとこちらへ振り返って、泣きながら唇を噛む俺を視界へと映した。
至はいつだって、変わらない表情で、俺を見つめる。
「、はる…」
「お前にとってみれば俺は…、」
子どもで、幼稚で、1人じゃ何もできないガキで、
「大勢友達のいるお前には、…俺なんてこれっぽっちも大きい存在じゃないし、ただ小さい頃から一緒で、…俺がお前にまとわりついてるから、お前は俺のこと構ってただけでッ」
…分かってる、分かってるよ……!
遠いって、届かないって。
お前に俺は、相応しくないって…!
「…それでも俺はっ、…お前が好きなんだもん…ッッ」
悔しい…ー
悔しいよ、至………ーー
お前に俺がいないと死にそうになって欲しいよ、
お前に俺がいないと楽しくないって言って欲しいよ、
だけど俺は、お前がそう言う前に、先に…こうして、呆気なく折れてしまうから…ー。
…俺はお前の言うようにお前にこだわり過ぎてるのかもしれない。依存してるのかもしれない。
だけど、それってやっぱりおかしいんだろうか?
「…彼女、作って、遊んで、」
「え?」
「クリスマスも、バレンタインも、年越しも、正月も、彼女と一緒にいて過ごすのが…普通なんだろ」
「…。」
「こだわり、過ぎてるのかもしれない…っ、…至至って思い過ぎてるのかもしれないっ、」
もう、こんなに泣いて、…面倒くさい奴って本音では思われてるのかもしれないー。
でも、それでもー
「…でも、…お前の一番に…なりたかったから…」
もう、視界は歪んで、至の表情は見えない。
俺は嗚咽が出るのを抑え、ぐっと唾を飲み込む。
堪えてきた感情が、今ようやく放たれている感じだった。
「わかんなかったよ…何でこんな気持ちになるのか、何でお前が俺以外の奴といると、こんなにムカつく気持ちになるんだろうとか、」
「…ー」
「今でも正直わかんない…。だって俺ら、近過ぎんじゃん、小さい頃からずっといて、幼馴染で、親からは兄弟みたいって言われてて、」
「…うん。そうだな」
頷くようにそう言う至の声に、俺は唇を噛み、震える口を開く。
「……俺、クラスの子に告白されて気付いたんだ。」
「……」
顔を上げると、至は俺を見て俺の答えを待っていた。
「……俺が、…お前のことが特別なんだってことに、…俺、あの時……気付かされたんだ」
頭の中に、あの日、笑って背を向けた彼女が蘇ってー、
俺は、
「……俺は、……お前のことが、好きなんだ…」
気付けば、ぎゅっと、体を抱き締められる感覚に、目を大きく開いた。
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