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もうすぐ、至は家を出る。
そしてもうじき、俺たちは新たな学校生活をスタートさせる。
「至〜」
俺は、悔やむことのないように、とでも言うように何度も至の家に行った。
だって至が家を出て行ったら、こうしてここに来ることももうなくなるんだから。
部屋の扉を開けて、へら〜っと笑って本を読んでいる至を見ると、至は俺を見てはぁと息を吐いた。
て、おいおい…っ、俺はお前の恋人なんじゃないのかよ…!何だその反応はっ!
若干むすっとして至の横に座ると、ん、と至がゲーム機を俺に手渡した。
「…あ、確か◯◯の買ったんだっけ?」
「ああ」
それに、俺が堪らずやろうやろう!!と言うと、至ももう1つのゲーム機を手に取った。
時間が経つのは早い。
当たり前だけど、至が近々ここからいなくなるというのは事実で、俺はそれに一々胸を不安にさせる。
…ほんとうに俺は、なんていうか、…ガキだ。
それから、どれくらい時間が経ったろうか。
至とゲームをして、その後色々話してたんだけど、急に眠くなって、本当に寝てしまって。
目を覚ますと、俺は至のベッドを枕に、カーペットに座ったまま寝ていたことを把握した。
ちら、と右を向くと、至が側で俺の方を向いていた。
ぼうっとしてそれを見つめ返し、しばらくして、…何だよと俺が言うと、至は別に、と返した。
「お前は、そんなんでもモテるから」
しかし唐突にそのあと言われたセリフに俺は半開きだった目を一気に開くようにする。
は、はあ…!?
「別に、モテて…とか、」
つーか…そんなんでもって、なんだよっ!
「言ったろ。お前、前に告白されて気持ちに気付いたって。」
その言葉に俺は少し目を伏せる。
「あ、ああ…」
…なんだろ。
…微妙に気まずい、かな。
「それってクラスの女の子か。」
「そ、そうそうっ」
「…前はチョコ貰ってたっけ。」
「…、そ、そういえばあったなぁそんなこともッッ」
あははと笑ってそう返したけど、至は下を向いていて全く笑っていなかった。
まあ当たり前…の、反応なんだろうけど…。
「…俺、別にモテねーよ。」
至から目を離し、ベッドを背に前を向いて1つ息を吐いてそう言うと、至がこちらを向くのがわかる。
「俺、なんか分かんないけどさ、他人に興味ないわけ。チョコは嬉しいよ、告白も嬉しくないわけでもない、正直。」
「…。」
普通に、喜んでたし…。
「けど、分かんないけどさ…、ぐっとくるのはお前っていうか…」
「…」
「なんていうかな〜…気心知れてるってのもあるかもしんない、けどさ〜〜なんていうか…」
そこまで言ってふと、なぜか恥ずかしくなる俺。
だってなんかこれ、俺こいつにまた告白してるみたいじゃん…っ!?
なんだよッぐっとくるのはお前って何だよ…っ!!
「つか、はっきり言ってっお前のが魅力あんじゃん!意味わかんねぇよ、俺だったら絶対…っ」
「……」
……。
「…なに?続き」
ギク
俺は、…何で1人で恥ずかしがって、何で1人で焦って結果墓穴掘ってんだろう……。
「…春?」
〝俺だったら絶対、お前を好きになるのにー〟
…言えるか。
口を結んで黙ったら、途端に不機嫌そうな顔をする至に気づいてしまって、俺は苦悩する。
けれど、頭を抱える俺の体を横から至の腕が包んで、俺は体を硬直させる。
…だって、急に。
至とこう何年もいるけど、当たり前だけど、抱きしめられるとかはまだ、全然慣れてないわけで。
「……なんか、女の子にされた?」
……へ。
それから顔を上げて、真顔で聞かれたことはそんな質問で、俺は目をぱちくりとさせる。
「いや、…特には」
「キスとか」
「ないないないない。」
手を横に何度も振って首を横にも振って、あり得ないことを表明する俺。
実際ないし。
てゆーか至は、それがあると思ったのか…。
「そんな度胸あるコいんのかよ、逆に」
そう、はは、と軽く笑って言ったのに、至は真顔で俺を見つめた。
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