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…友だちを作ったとしても、俺と至が付き合ってるなんてことを、そいつに公言はできない。
信頼してるとかじゃなくって、普通にアウトだと思うから…。
毎日ラインのやりとりしてるだけで、そんなふうに思われんのか…
俺はもしかしたら、楓だけじゃなくて、今までもずっと、周りの奴らに変だと思われてたのかな…。
…いいや、違う。そんなことには慣れていたはずだ。
ホモという噂は昔から俺たちの周りを飛び交わない年はないほどいつも囁かれていたし、俺も至もそれは分かっていたし仕方ないと諦めてもいた…。
「……」
…とにかく、今は至との仲を誰にも知られてはいけない。それだけだ。
家族にも、楓にも、…誰にも。
ーー
ー
「至〜!」
週末、俺は電車に乗って、至に言われたように乗り換えもして、至のアパートまでやってきた。
というか、実際はここに辿り着くまで何度も至にラインをして道案内をしてもらってたんだけど…。
まあとにかく、着いてよかった。俺、よくやった。
「よ。とりあえず上がって」
アパートの下に降りて俺を待っていた至に導かれるままに、俺はアパートの一室に足を踏み入れた。
「お、お邪魔しまーす…」
遠慮気味にそう声を出すと、靴を揃えて俺は部屋の中へと入る。
至の暮らしてる部屋。
至だけが暮らしてる、1人部屋。
…よく考えてみれば、俺は至の母親も弟もいない場所に、至だけがいる空間に呑気に手土産なんか持参して来てしまったわけで、
……。
思わずちら、と至のベッドを盗み見る。
…いや、だってもしかしたら、今日俺たちせ、せせせせせっくすを、するかもしんないし…。初えっち…か。
「俺のベッドなんか見て」
ビク
「なに?」
ーき、急に音も無く背後に立つな…!!
バッと勢いよく振り向くと、疑問符を浮かべたような至が真顔で俺を見つめてた。
「?なに」
…そういや俺は、こいつにあんなことやこんなことをされていて……、もしせっ、…セックス…をすることになったら、それ以上のことをするわけで……
はあ……やだ、…また俺が恥ずかしいやつじゃん…うう…っっもうやだッッ
「おい、春。何だよ」
「……い、いや…っっ、えっと、…き、綺麗にしてんだなあと思って!!」
慌てて言うと、至は俺の言葉に首を傾げるようにどことなく腑に落ちない顔をした。
…なんというか、久々に至の顔を見るからか、俺は酷く緊張してる。
背、何故か伸びた気もするし。
なんか、慣れない部屋だからか、落ち着かないし。
「…ああ、まあまだ暮らしたばっかりだし、な。」
「あ、そ、そっか」
そういえば、確かに…っ。
「…えーと、…」
「……」
「…あー…とりあえず……お茶、出すよ。座ってて」
「あ、ああっ、分かった…!」
至の言葉に頭を縦に大きく頷く俺。
…なんか、こう、至も緊張してるような…気が。
いや、多分俺のが緊張してるんだけどさ…。
俺は1人カーペットの上に座って心臓を落ち着かせるように1つ深呼吸をした。
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