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ーー
今日は、日曜日。
バイトも大学もない日で、そして、
「…よ、」
至が、俺の家にやって来る日。
「至っ、久しぶり!!上がれよ、お前とやりたいゲームあるしさあ!」
お昼頃やってきた至の腕をグイグイと引いて自室へ向かうと、リビングから、うわー出た〜ホモが出た〜という弟のからかう声が聞こえた。
が、そんなことはどうでもいい。
俺は単純に至に会えたことが嬉しいのだ。
俺の部屋に至を連れて入ると、ふと至が手に紙袋のようなものを持つのが見えて、俺は尋ねる。
「それ、何?」
すると至は俺の質問に至っていつも通りの表情で、ああ、と言う。
「お前、前に土産持ってきてくれたし…俺も、さ。」
そう言ってフイとそっぽを向く至に、俺はぱあっと顔を輝かせる。
「そっか、ありがとう!」
満面の笑みで笑ってお礼を言ったら、フイとやはり至に顔を逸らされた。
まあ、至は割といつもこんなんだし良いんだけどさ。
「てゆうか至、このゲーム知ってる?俺中古店でバイトしてるって言っただろ、そこで前軽く見かけたんだけどさ〜」
ガサガサと、テレビ前に座ってゲームソフトを探しながら話していると、そばで至の歩く音が聞こえた。
「結構昔にやってたやつで、そのシリーズの、何てったっけなぁ…なんたらファイブかシックスか…」
「…」
「…え、えっと、名前ちょっと今ど忘れしちゃったけどっ、今から探すしさぁっ」
「ー春」
耳元で聞こえた声に、途端に俺は手の動きを止めて目を開いた。
何と無くさっきから気配を感じていた後ろを振り向いたら、こちらをじっと見る至の顔があって、俺はそれにかあっと熱を浮上させる。
ーち、近い。
「い、いた…」
「ゲームゲームって、お前勉強もちゃんとやれよ」
ーな…っ
「…わ、分かってるよっ、てゆうか、単位落とすようなことはしないし…多分」
ああ…もう、…近い。ちかい、近いから…っ!
「バイトって、中古店か」
「そ、そうそう、前も言っただろ、てか今も」
ていうか何でほんとこんなに近い…っっ?、至は何がしたいんだっ!!
「ふー…ん。つぅかそれって、もしかして楓ってヤツとか」
え?
「あ、そうそうっ!あれ、でもお前に言ったっけ?楓ってすごいんだぜ、レジ打ちもすごいスマートにこなすし、お客への対応もハキハキしててさ」
「へーえ」
「色んな男の先輩とも仲良くなったんだっ、最初はバイト不安だったけど、意外と皆んな優しくて、今度皆んなで遊ばないかって誘われたりしてー…っん!?」
ーと、突然前触れもなく塞がれる唇に目を開く俺。
目の前にある至の顔を見てぼうっとしてたら、そのまま至の舌が口内に入ってきて、ハッとした時にはすぐに涎が口から溢れてきて顎を流れ落ちる。
「ん……っふ、」
少しして口を離されて、俺ははあはあと息をしながら相変わらず息一つ乱れていない至を見上げる。
こ、こんなの、
「…こ、呼吸困難に、な」
「ならねぇよ。こんなキスくらいで」
真顔でそんなことを言う至を見て、俺は更に顔を赤くさせた。
か、簡単にキス、なんて単語を言いやがって…っ!
涼しい顔して何なんだこいつは…!なんか、ちょーーっムカつくんですけど……!
「わ、」
すると、俺の体を、膝裏と背中に手をやって、不意に至がふっと上に持ち上げる。
ていうかこれ、
…お姫様抱っこ、なんだが……。
「お前なに…」
「ーわ、お前軽っ、ちゃんと食えよご飯」
「…はっ?!」
って、その割に全く色気のねぇ会話だなぁっオイ!!
「…お前何なの…」
「ゲームはさせない。」
それから聞こえた至の言葉に、え、と聞き返そうとして、俺はベッドの上に降ろされる。
上半身をすぐに起こすと、至は俺の座るベッドのすぐそばに腰を下ろして、俺を見た。
そんな至を見て口を開こうとしたら、至の手が俺の右頬にスッと当たるのが分かった。
「…これでも、我慢してる方なんだ」
呟かれた至のそんな言葉に、俺は何故だかどくんと心臓を跳ねさせる。
「今日、したいんだけど。」
ーびく
し、し、しししシたい…って。そんな真顔で、そんな、直球で、…言うな、馬鹿至。
「だ、駄目だ。下に、母さんも弟もいる。絶対ダメ」
触れられている右頬に熱を上げながらそう伝えると、至は目を伏せる。
「…どうしても?」
そんな至を見ながら、俺は思う。
それより、どっからお前のその、シてもバレない大丈夫だろうっていう自信が溢れてくるのだろう…と!!
「ぜっったいダメ!もしもの事とか考えろ!大体、弟はホモな奴らとか大嫌いなんだからっ!」
キッと至を睨んで言うと、至は俺を見て、そうか…と呟いた。
ちょっと、…強くきっぱり言い過ぎたかな?
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