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すると、至の家を出てすぐ、湊くんが俺の元までやってきた。
ん?どうしたんだろう?
「あれ、どうした?」
きょとんとして見ると、湊くんは言葉を詰まらせた。
「さ、最近誕生日だったって、聞いて」
おめでとうございます、そう続けて言う湊くんの予想もしてなかった言葉を聞いて、俺は目を開いて驚く。
「お、おう。…サンキュ!」
それを言うためにわざわざ出てきたのか…?
可愛いヤツだなぁ…。そう思いながら歩くと、隣を湊くんも歩いた。
歩きたい気分なのかな?
「白兎、どう?」
何となく話す話題もなかったら、そう尋ねてみると、湊くんは俺の問いに、え、と言った。
あれ、そんな仲良くないのかな?…やっぱり。白兎、確かに自己中だもんなぁ。
「えっと、…白兎くんは、いつも元気ですよ。楽しそうに、毎日過ごしてます。」
すると、少しして言葉を考えながらそう言う湊くんに、俺は笑う。
「ははっ、そっか」
俺の笑う声に、湊くんは多分、何で笑われるのか分からず少し戸惑ってた。
ほんと、真面目だよなぁ、…この子は。
「ーな、湊くんは?」
「え?」
不意に俺の尋ねる声に、湊くんは俺を見て尋ね返す。
俺はそんな湊くんを見て笑う。
「湊くんは、最近学校どう?楽し?」
湊くんの目を見つめて言うと、湊くんはパッと俺から顔を逸らした。
「はい、楽しいです、」
「高校も空手部入んの?」
それに、にこっと笑って続けて俺がまた問うと、湊くんはこくりと頷いた。
「はは、湊くんってなんか…真っ直ぐだよなぁ。部活に専念してて、なんか、そういうのカッコいいよな」
笑って言うと、湊くんも仄かに笑った。
それから、それだけ話してすぐ、俺の家まで着いた。
ゆっくりとした歩幅で家まで帰宅しても、多分時間は数分しか経ってなかった。
俺と至の家は、それくらいに近い…ー。
「ーあの!」
玄関の扉を開けようとすると、後ろからそんな声が聞こえて俺は振り返った。
そこにはさっき別れて既に背を向けたはずの湊くんが、俺を見て立っていた。
「…。……なに?」
「……春、さんは」
…ほんと、でかくなった。
俺の見てない間に、いつの間にこんなに成長していたんだろ…。湊くんはー。
「…春さんは?」
「……」
そして、本当にいつの間に、
「春さんは、今、……元気…なんですか…?ー」
こんなに、真っ直ぐな目で…
俺の目を、見るようになったんだろう……ーー。
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