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「水島〜」
「……」
「水島、これ美味そうだぜ、このポテト〜」
昼食時間、俺たちは、俺と楓、それから満面の笑みで俺たちの前に座る翔の3人で、何故かお昼を食べていた。
……本当に意味が分かんねえ…し、嫌がらせとしか思えねえんだが……。
ガタ
「あ、春。何処行くの?」
「…違うとこ行って食べる。来ないでくれ」
スタスタと去ると、俺は人の少ない席のある階へと向かった。
…
「…よく分かんないけど、…春があんなにツンとするなんて、あんた春に相当嫌われることしたんだな。」
「〜分かってるよ、…分かってる」
「俺が思うに、こんなことしたって得なんかないんじゃないの。嫌われてんなら、それは仕方ないよ。こんなふうに付き纏ったって、変わらない心だってある」
「…。…俺はただ、水島に本当に償いたいだけだ。…俺のせいで、もし、抱えてることがあるなら…尚更。俺はあいつには…ただ、笑ってて欲しいんだ…ー。」
ーー
夕方ごろ、俺は大学から自宅に帰ると、何故か家の玄関の鍵が開いていることに気づいて、ん?と軽く首を傾げる。
…あれ、誰か締め忘れたんかな…?
おかしいな、戸締まりはちゃんとしろってのが、この家のルールだったはずだけど…。
それから誰もいないリビングに入って、冷蔵庫を開けてお茶をコップに注いでいると、不意に家の電話が鳴り響いて、俺はそれに手を止めて顔を上げる。
「はいはいはい、」
そう独り言を呟きながら子機の元まで来ると、俺ははい、と言ってその電話に出る。
すると、
「ー兄ちゃん!?!いま、いまっ母さんが、事故に遭ってて…っ!」
「!?」
なに、……何っ!?ー
母さんが、事故……!?
「家からすぐ近くのスーパーの前っ、兄ちゃん携帯鳴らしても出ねぇしっ、…お父さんも、誰も出ねぇし…!!」
携帯……携帯…っ?!…っあ…
…やばい、…俺、通知オフにしてたんだった…ー
ーー畜生……ッ…アホか俺は…!!!
「…わかった、とにかく今からそこに行くから!!」
俺は子機をガチャンッと音を立てて切ると、急いで靴を履いて玄関の扉を開けて出ると、弟に言われた場所まで無我夢中で走り続けたーーー。
ー
「お母さんの生年月日は?」
「…19◯◯年10月2日です。」
「歳はいくつ?」
「40……えぇっと、…47歳です。」
警察に問われる母に関する質問に、俺は記憶を辿りながらあくまで落ち着いて冷静に答えた。
側では、弟の白兎が俺の服の裾を掴み、不安そうに周囲を見渡していた。
俺が現場に駆けつけた時、母さんは頭に少しの血を流して道路上の脇に倒れてた。
後に、近所の人によって呼ばれた救急車がやって来た時には息を切らした父さんも俺たちの場所まで急いで駆けつけてくれた。
救急車に運ばれる母さんに父さんが付き添い人として乗車し、救急車はその後、すぐにサイレンの音を立て、俺と白兎の目の前から去っていった。
事故なんて、他人事だと思ってた。
家族の誰かが起こすなんてこと、たったの一度だって、…考えたこともなかった……ーー。
…
「…母さん……死ぬのかな?兄ちゃん…」
「……。…死なない。…死なねえよ。頭を軽く打っただけらしいんだ。意識もあった。脈もな」
「………うん、…うん、そっか…そう、なんだ…」
……大丈夫、…大丈夫……ーー
絶対大丈夫、だから………ーーー
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