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「白兎〜っ?」
「……。」
「ほら見ろ白兎〜〜、美味しいメロンだぞ〜。切り分けてやったから、ほら。な?」
「…」
あれから、白兎は俺と口を利いてくれない。
俺がにこにこと笑って話しかけると、プイとそっぽを向いて白兎はだんまりを決め込み続ける。
もう、あの日から一週間…経とうとしてんのに。どうせすぐ後で話すようになると思ってたんだが、
…甘かったかな、俺も。
「ごちそーさま」
「ああっ、白兎、明日は何食べたい?お前の好きなもの、いっぱい作ってやろう…っ」
あははと笑って言ったけれど、白兎は食べ終わった食器を洗面台まで持って行って、俺の言うことに対して少し顔を伏せて黙ってから、ダダっと自分の部屋に戻ってしまった。
…く、くそう、今の絶対、惜しかったのに…ッッ!
俺ははあと大きなため息を吐いて、リビングで1人、メロンを食べた。
前に母さんに、俺と白兎のこんな様子を見られて、言われた。
そんなに白兎を甘やかす必要はない、って。
…俺だって、まあ確かにそうかなと思うし、何でこんなに弟のあいつに、にこにこと気を遣わなきゃなんねーんだ、とも思う。
だけど、…多分というか、今回のは絶対、100%…俺が悪い。
弟は、俺と湊くんがホモ…ぽい感じになってるところを目撃してしまった、
白兎は、そういうのが嫌いだから。
…ホモっていうのが、あいつは大嫌いみたいだから。
「はあ」
バイト先、レジに立ちながら深いため息を吐くと、同じシフトで隣に立っていた楓がじろっと横目で俺を見てくる。
「なに、何かあったの。この世の不幸一心に受けてますって感じのため息だったけど」
…おい、そんなにかよ。
「いや、ちょっとなー。弟が、口を利いてくれなくて」
「…はー分かった、お前さてはブラコンだな」
ぽんと納得したような手の動きを見せる楓に、俺は楓の方に顔の向きを変えてキッと軽く睨みつけた。
ほんともう、他人事だと思って楽しそうにしやがって…っっ!
「あーはいはい。そんな怖い顔すんなよ」
「テキトーかよっ!?」
「…。で、何よ。喧嘩の原因的なのはさ」
キッと睨んだまま楓を見ると、楓はそう言って俺を見返した。
途端に、俺はその言葉に前を向いて目を泳がせる。
「い、いやー、原因は、ちょっと言えない…というか、はははは」
「……」
俺の返した声に黙る楓に、俺はえーと…と頭を掻く。
すると、
「言いたくないことならいいよ。」
楓から聞こえたそんな声に、俺は少し安堵する。
「まあ、兄弟なんだしその内話すようになるでしょ。ーあ、お客さん来る」
「…ああ、だと良いけど…。いらっしゃいませ〜」
楓の言葉に、俺はまた息を吐きながらそう呟き、ゲームソフトを持ってきたお客さんに笑顔を向けて笑った。
というか、白兎のことも確かに悩みのタネだけど、問題はそんだけじゃなくて、他にも色々…あるんだよな…。
俺は湊くんのことやら至とのこと、そして至のことを好きだという彼のことを思い出して、頭をいつまでも悩ませるのだった。
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