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「よ〜!水島、こっちこっち」
…で、俺は何やってんだろうな、こんな大学もバイトもない貴重な休みの日に…。
大学内の昼休みに、翔に半ば強引にラインのアドレスを交換されて、今週末の休みに会おうと言われ、断れず…待ち合わせ場所まで来てしまったわけだが…。
思うけど、これって浮気…か?
実際、こんなふうに至が誰かと会ってたら…嫌…だよな。
けど…別に至の言う、〝友達〟で通るなら…浮気には入らないよな。
俺たちは、多分友達…なんだし。
「え?てかなに難しい顔してんの?」
「ああいや、こっちの話。」
手を横に振って言うと、翔は少し俺を見てから、にこっと笑った。
俺たちはそのまま誰もが知ってるファミレス店に入り、椅子に腰を下ろした。
店内には客はまばらにいるみたいだ。
「水島、何頼む?」
俺の前に座ってメニュー表を渡しながら言ってくる翔に、俺は少し戸惑いながらありがとう…と言って、うーんと悩んだ。
こっちの卵の乗ったハンバーグも美味しそうだし、こっちのすりおろしハンバーグってのも爽やかで美味しそう…。
うーんと唸ると、翔は言った。
「頼みたいもの好きなだけ頼めよ。」
「っえ」
「俺が奢るから。」
そう言って翔はにっと笑った。
…そういえば今急に思い出したけど、こいつ確か、あの変な怖い人たちに絡まれた時、あり得ない額の金財布から出してなかったか…?
そう思ってから、じ…と翔を見つめると、翔はすぐ俺に気づいて、なに?とメニュー表から顔を上げて能天気に言った。
もしかして…こんな普通の大学生のフリして危ないバイトを影でしてる…とか?
それとも、…なんだろ?はっ、暴走族とかそういうのか…?…怖い。でもあり得なくも…ないような。ほら、ピアスもしてるし、髪も染めてるし…。
「なあ、さっきから人の顔じろじろ見てお前何なの」
ビク
すると、翔の少しムッとした声がして、俺はヒーッと青ざめて慌てる。
「い、いやっ、何でも、ないです」
「…。何で急に敬語?」
「だ、だって…」
そうこうしていると、店員の人が来て、俺は結局卵の乗ったハンバーグを選択した。
翔はそれからぺらぺらと色々と注文してて、俺はそれをずず…と水を飲みながら見つめていた。
しばらくすると俺の注文していたハンバーグが運ばれて来て、俺はわ〜と綻んだ顔をした。
「ハンバーグ好きなのか?」
パクパクと思わず夢中になって食べていると、前に座る翔に言われて、俺は口に入れたハンバーグをごくりと飲み込んだ。
「別に、…1番好きなのは、カツ丼とか、丼もの」
目線を合わせずにそう言うと、翔はへえと言って笑った。
それからまたしばらくすると、俺たちのところに次々と色んなものが運ばれて来た。
というか、…ちょっと注文し過ぎなんじゃ…ないのか…?
「これ…お前1人で食うの?」
「まさか。お前と俺。好きなもの食えばいい」
さらっとそう笑って言ってのけた翔に、俺は嬉しいというより、唖然とした。
いや、だって、…それにしたって、2人分にしたって多過ぎなんじゃ…。ていうか、たかが大学生の男が、こんなファミレスでこんな余裕そうに大量注文するか…?
いや、おかしいだろう。どう考えても…。
普通の奴と何かが違う。金銭感覚もだけど、それに…なんて言うか、考え方みたいなものが…。
やっぱこいつ…やばい奴なのか?
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