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夜になって、俺は自分の部屋の扉を開けた。
「翔?」
夕方頃、俺はこのままソファに寝かせるのもあれかと思い、リビングから階段を登ってって、翔を自分の部屋のベッドで寝かせていた。
そっと声をかけると、翔は目を覚ましていた。
「…水島」
ベッドの近くに寄って座ると、ポツリと翔が呟いて俺を見て、俺はそれにほっとするように笑った。
「よかった、さっきより全然マシみたいで」
俺はそう言って、翔の額に貼っていた冷えピタを一度剥がすと、持って来ていた新しい冷えピタを翔の額に貼った。
「…」
「これで、もう少し寝れば治るだろ。家どこだっけ?終電には間に合わせたいけど」
ウチに泊まらせてもいいけどさ、と続けて言うと、ふと翔の視線を下から感じて、俺は翔を見る。
「なに?喉乾いたのか」
「……」
なにも言わない翔を見て、俺は首をかしげる。
まだ頭がぼうっとしてんのかな。俺は翔を見つめて、笑みを浮かべる。
すると、
「…俺はお前に昔…酷いこと言ったのに」
そう真顔で口を開く翔に、俺は少し驚く。
「…お前は……俺の面倒を看るんだな…。」
呟くように続けてそう言った翔の言葉に、俺は少し黙って、それから笑って言った。
「そんなの、関係ねーよ。綺麗事とかじゃなくってさ、だってお前俺に謝ってくれたじゃん」
「…」
「それに、ー俺らもう友達じゃん。ちげーの?」
にこっと笑って言ったら、翔は俺を見て、一瞬目を開いた…ーー気がした。
翔は俺を見て、笑った。
「…ああ。」
翔はそうして、再び深い眠りへとついた。
多分、終電に間に合いそうにないな…これじゃ。
俺は翔の寝顔を見ながら、呆れたように笑った。
「あの人の調子どう?」
下へ降りると、白兎が近寄って来て尋ねた。
「うーん…多分大分大丈夫だと思う。熱も測ったけど、随分下がってたし」
軽く笑って言うと、白兎は俺を見て、俺と目が合うとぱっと慌ててその目を逸らした。
…なに強がってんだか。
俺はそんな白兎を見て少し笑うと、俺から離れた白兎が一度足を止めるのが分かった。
「どうかした?」
俺が尋ねると、白兎はううんとだけ言って、俺を見ずに首を横に振った。
「え?」
それにまた聞き返すと、白兎は言った。
「なんかあの人、オーラ違うな…って思って」
…オーラ?
「ん?かっこいいってことか?あんなぐったりしてたのにか?」
白兎は翔みたいなのがかっこいいと思うのか〜、まあ確かに端正な顔立ちしてるもんなぁ。と、1人思って納得していると、白兎は俺の言うことに、そうじゃなくて、と言葉強めに言った。
「じゃなくてさ…、なんて言うか、俺らとは違う人なんじゃないのかなって、なんか、そんな感じしただけ」
……ん?
つまり、どういう意味だ?
「でもあいつ、普通に俺の小学生ん時のクラスメイトだけど…」
「えっそうなの?」
俺の言葉に、白兎は後ろを振り向いて俺を見た。
白兎はそれから前に向き直って、そっか…と言った。
「俺ら一般人とは、なんか…違う気がしたんだよな」
白兎は眉を寄せながらうーんと唸って、俺はそれを目を瞬かせて見つめていた。
…一般人とは違う…。
ー〝ここに約20万ある。〟
……あれとか?
確かに無駄に金だけは持ってたもんな…。
俺は上にいる翔の方を見つめて、ふぅと息をついた。
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