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ステップアップside旭秀治
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僕、今何て言った?
無意識のうちにこぼれ出た言葉の意味を真剣に考える。
あっけにとられた吉岡君よりも、きっと僕のほうが混乱している。
自分で言っておいてなんだけど、後悔の念に包まれてしまう。
面白いね?え?おもしろいねって言った僕?吉岡君に?不良とかそっちのけでまともに会話したことが初めての人におもしろいねって言っちゃった?
決して悪意はないけれど、聞いている人に馬鹿にしていると受け取られても仕方がない。どんどん体温が下がっていく。
やっやっちゃった!ごめんなさい!
もう死んだ。
確実に死んだよ僕。
さようならお母さんお父さん。あなた達より先に逝く親不孝者をどうか嫌わないで上げて。せめてお線香はちょうだい。
「あっごめん!馬鹿にしてるわけじゃ………!ごめんなさい!だから殴らないで!」
自分の死を確信した僕はせめて最後の言い訳をする。
焼き石に水程度の効力すらないかもしれないけども。自分の馬鹿さ加減と馬鹿正直なところが嫌いだった。不運だったよ
吉岡君は僕に殴りかかってこなかった。唸るような声をだして顔を抑えた。
金髪からのぞく耳が赤かった。
え?思いがけない反応に僕も口をつぐむ。
変な空気が流れた所で、吉岡君が指の隙間から瞳をのぞかせる。
僕の自意識かもしれないけど、それは照れたようなまなざしに思えた。
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