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友達とはside吉岡尋海
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旭に友達にならないかと誘われた時、はっきり言って俺は何も言えなかった。
喜びと驚愕が混ざり合って喉を封鎖してしまう。かろうじて首は動いたけれど、家に帰って数時間たった今もろくに喋ることができない。
飯食う時も風呂に入る時も、好きなテレビを見ている時も。何度も旭の「友達になりませんか」という声がリピートされる。旭のことで頭がいっぱいだった。
後は布団に入って眠るだけなのに、自分の部屋に行く気にもなれない。ソファの上でずっと上の空で体育座りをしていた。
缶ビールを持った姉貴に「邪魔」と蹴り転がされても夢のような余韻がひいてくれない。
「なんなのあんた。そろそろ死ぬの?魂抜けた面してるわよ」
「姉ちゃん」
「なに?」
「旭と、友達になれた」
「は?誰よ旭って」
姉貴が形のいい眉を寄せた。好きな人ができたと言ったが、そういえば名前は教えてなかったな。
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