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趣味並べside吉岡尋海
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はっきり言うと俺は本が苦手だ。
更に詳しく説明すると嫌いのカテゴリーに分類される。
ちまちました小さな字が目に入るだけでめまいを起こしそうになる。登場人物の心情なんて見当もつかない。
でもたまに文字の量が少なくて、面白いものもあった。
なかなか出合えなかったし、探そうともしなかったがその分出合えたときの感動は胸に残り続けていた。
面白いと思った本達の登場人物は、まるで生きているかのように紙の上で踊っていた。
「んじゃあさ、今読んでるのは?」
「今年流行ったドラマの原作読んでるよ」
「そっそれ、読み終わったら貸してくれ」
「いいよ。すぐに読んじゃうから待っててね」
「おう」
目の前で舞台が行われているかのような美しい世界。
旭はそんな綺麗で繊細な世界を愛しているのだろう。愛されているだろうし。
愛し愛されている。
両想いとか馬鹿な嫉妬を覚えそうになって慌てて振り払う。
彼は活字の世界に魅了され魅了しているんだ。
あんなに綺麗な顔をして読書をしている人間なんて滅多にいないから。
興味を持ったのは、旭が読んでいるからだ。それ以外理由なんてない。
苦手だけど、旭のことを知れるなら苦にもならなかった。
旭が頑張ってくれてるんなら、俺も頑張ってみようと思う。旭ともっと仲良くなるために。
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