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趣味並べside旭秀治
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吉岡君に本を貸して1週間たった。
ゆっくりでいいと言ったのに吉岡君が視界に入るたびに、必ず貸した本に目を通していた。
ご飯のときも、授業の時も。
この調子だと通学路まで持ち込んでるんじゃない?
もしそうなら歩きながら読書は危険だからやめてほしいな。吉岡君が危ないからね。友達には怪我をしてほしくないでしょ?
休み時間に頭を抱えながらページをめくっている彼に声をかけてみた。
「吉岡君吉岡君。無理してずっと読まなくても」
「いっいや早く読む!早く読むからもうちょっと貸してくれ!」
僕にせかされたと勘違いした吉岡君は慌てて次の頁に移った。
いやそうじゃなくて。切羽詰まって読まなくてもいいよって言いたかったんだけど………。ダメだこりゃ。聞く耳持たない。
別に早く返してほしいとは思わない。それよりじっくり読んでほしい。
一文字一文字から滴り落ちる蜜を啜るように。丹念に物語を楽しんでほしかった。
読書の醍醐味を堪能して、彼も僕みたいに本をたくさん読めばいいのにな。
そうすれば共通の趣味が出来上がって、もっともっと仲良くなれるかもしれないのに。
そういえば吉岡君は何が好きなのだろう?知らないから今度また訊いてみようかな?
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