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君の好きなモノside吉岡尋海
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夢のようだった。
一目ぼれした相手と友達になれるなんて。しかもそれは夢じゃない。
れっきとした現実として今も俺の目の前で静かに再生されている。
ぱくぱくと弁当の中身を口の中に投げ入れていく旭を息をもらしながら見つめた。
旭と同じ席でご飯を食べる。
こんな幸せが日常に組み込まれる日が来るとは思ってもいなかった。
世間から見れば当たり前の光景でも、旭がそこに交じれば別の色に輝いていた。
人というのは欲張りなもので、俺の心にある事がぼんやり浮上してきた。
旭は俺のことをどう思ってるんだろう?
とても気になる疑問だった。
俺が旭をこんなにも思っているのに対し、彼にどう思われているのだろうか?
まだ怖いとおびえられているかもしれない。
無愛想な馬鹿だと認識されているかもしれない。
大方マイナスのイメージに違いないのに、やっぱり期待してしまう自分がいた。
それを尋ねてしまえば、砂糖菓子のような日々が溶けてしまいそうで。
いいんだしばらくはこれで。
深く求めすぎても、いいことなんてないに決まってるから。
旭の友達として過ごすことを密かに決意した俺を、旭は唐突に見やった。
「ねえ、吉岡君って何が好き?」
せっかく固めた決意が、ぐらりともろく揺らいだ。
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