アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
君の好きなモノside旭秀治
-
ただ単純な質問だったはずなのに、吉岡君はとても辛そうに考え込んでしまった。
聞いちゃいけないことだったのかな?またもや吉岡君を苦しませてしまった罪悪感が膨れ上がる。風船みたいに丸まっていき、いつか破裂しちゃうんじゃないんだろうか。
やっぱりいいよ。そう言ってあげたかったけど、自分の口から出た言葉を鞘におさめるのは気が引けるし、好奇もあったのであえて黙っておく。ごめんね吉岡君。
でも気になるんだ。君が何を好きで何を趣味にしているのか。とっても興味がある。
友達のことはなるべく知っておきたいでしょ?
最近、ずっと友達っていう定義を利用して吉岡君のことに関しての言い訳に使っているような気がする。でもモヤモヤしていきて。友達っていうのに違和感を感じ始めてたりする。
なんなんだろうこれ。吉岡君と僕は友達で。僕と吉岡君は友達で。ただそれだけなのに。簡単なふた文字に僕らを当てはめるのは不適切な気がしていた。
「そっそれは………」
「それは?」
「おっ俺が好きなのは………」
こっちまでドキドキしてきた。このドキドキは吉岡君が言い淀む「好きなモノ」についての期待度の高さを表している。
もしかして、好きな女性のタイプとかかもしれない。別にそんなこと聞いてないんだけどな。
「って言えるかこの野郎!旭のバカ野郎!」
顔の赤さが限界を超えた吉岡君は立ちあがりながらそう叫んだ。
突然怒鳴られた僕は目を丸くして彼を見つめることしかできない。教室が水を打った静けさに染まる。
我に戻った吉岡君は恥ずかしそうに顔を伏せて教室から出て行ってしまった。
なんだったんだろ。僕、気に触るようなことしちゃったのかな。何を言うつもりだったんだろう?
吉岡君の食べかけの焼きそばパンが、寂しそうに机に残っていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 84