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夕暮恋愛side旭秀治
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ふと現実に戻ってきて窓を見ると、身に突きささるようなオレンジ色に燃えていた。
我を忘れて読書にふけっていたみたいだ。
こんな事じゃ締め出されても文句は言えない。時間を確認しようとして、首を曲げると、視界に入ってきた金色が焼きついた。
思わず二度見してしまう。
時折感じた視線は吉岡君のものだったのか。
不快感を感じなかったの放っておいたけれど、吉岡君にずっと見つめられていたんだって認識したら何故か恥ずかしさがこみあげてきた。
赤くなってきた顔を本で覆い隠し、蚊の鳴くような声で言った。
「………どうしたの?」
「あー………見てた」
素直な答えに、顔はどんどん降下していくばかりだ。
「そっそうなんだ………」
夢から覚めたような声音が薫風によって運ばれていく。
ばつの悪そうな吉岡君に苦笑いを向けた。
「見られてると読みにくいね………」
「気に障ったんなら謝る」
「謝らなくて、いいよ」
嫌じゃなかったし、逆に見守られているといったような温かさがあったので、僕は何も言えなくなってしまった。
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