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お礼side旭秀治
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「よっ吉岡君」
自分でも情けない顔をしていると自覚していた。
呼ばれた吉岡君も戸惑ったように「おっおう」と返事をする。彼は加えていたスティックキャンディーを口から取り出す。
「どうした?すごい顔してるぞ」
「そうだよね………自分でもそう思う」
指摘されて少し落ち込んだが、気を取り直して彼を睨むように見据えた。
唐突な僕の睨みに吉岡君は更に怯む。にっ睨んでるつもりないんだけれどなぁ………。
緊張のあまり目元に力が入りすぎていた。かといってリラックスしろと言われても不可能だからこのままいくしかない。
「そそそっそのそのそのその」
頑張れ僕!呂律が回らない馬鹿な僕にいら立つ様子もなく吉岡君は待っててくれる。
震えて仕方がない足で床を強く踏みつけると、一瞬力が抜けた。
その勢いで後ろ手に隠していた袋を吉岡君に手渡す。
「これ、傘のお礼なんだけれど、貰ってくれる?」
つまらないものだけれど。常套句が後になって飛び出してきた。つまらないものだったら渡さないけれどね。
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