アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
俺の悲しみを見透かさないでside吉岡尋海
-
呼び出された理由は、説明するのもアホらしい難癖だった。
俺の髪の毛の色が後輩のくせに生意気だとか、そんなのどうでもいいから早く教室に戻りたい。
旭の泣きそうな顔が頭から離れなかった。心配させた。
行かないでと俺を案じてそう思ってくれたことも全部知っていた。でも行かずにはいられなかった。
俺のせいで旭にもし被害が及んだら。そんな恐ろしいことを考えたくもない。
だから俺が理不尽な理由で殴られて傷つくことぐらいなんでもないんだ。
強がりとかじゃなくて、本当に。本当に旭のためならいくら傷ついたって構わないと思ってる自分が顔をあげる。
唾と一緒に飛んでくる悪態は、自分勝手な満足心には届かない。
俺は旭を勝手に守った気でいる。あからさまで身勝手な心境に怒りを覚えると同時に、心地よいとすら思う。
旭を餌に自分が楽しんでいるのだから、旭に謝りたい。心配掛けてごめんなって面と面向かってちゃんと。
旭の安心したような笑顔が、恋しかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
72 / 84