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それを世間は恋と呼ぶ
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「俺、旭のことが」
吉岡が肝心なところを思い切って吐き出そうとしたところで、無視できない異変が場を襲った。突如現れた爆発するような激しい音に二人の方が同時に跳ねる。
「あっナイトパレード始まったみたいだな。てかもうそんな時間か」
同じタイミングで驚いたところで、状況をつかめていない旭に、吉岡はあわてて説明してやった。
この遊園地に誘う前に徹底的に調べつくした知識を披露した吉岡に、旭はホッとした表情を浮かべた。
「そうなんだ。びっくりしたね」
「あっああ………」
びっくりしたのは吉岡もだった。せっかく流れに身を任せて言いたいことを言えるチャンスが、まさか開始を告げる花火に邪魔をされるだなんて思ってもいなかった。
先ほどまでこの場を覆っていた甘酸っぱい雰囲気は生ゆるい夜の空気に流され、曖昧に踏みつぶされてしまう。
ちょっとしょぼくれている吉岡を、旭は少し面白そうに笑った。
「ナイトパレード、見に行こうよ」
そう言って旭に握られた手のひらに頬を赤くしながら
「おう」
と照れたように返事をした。
もう少しこのままでもいいかな、なんて。
この微妙な糸が切れないように、彼らはお互いの手を強く握りしめた。
END
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