アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
運命の席替えside旭秀治
-
僕、旭秀治は自称他称本の虫だ。自覚もしているし周りにもそう認識されている。
自分のこんなおかしい性格を考慮してくれているし、このクラスには得に不満はない。
普通にいいクラスだと思う。普通といいって矛盾してるけど、標準並みに良いクラスとしか表現する能力しかあいにく持ち合わせていなかった。普通にいい。うんとてもしっくりくる。
不満ならしいて言うならばイベントごとに盛り上がりすぎることだろうか。
小さなものから大きなものまで。もう終わったけど球技大会なんてもうひどかった。
全員が熱血魂注入されてるんじゃないかと不安になるほど一致団結する。
アウェイ感を感じ得ない僕まで特訓に強制参加させられた過去は、もう忘れたい。
僕は暑すぎるのが苦手なんだ。熱いのもね。
精神のどこかがさめきっているのに、燃え上がるやる気には近づきたくない。よらないでほしい。
とにかく本日最後の授業を締めくくるホームルームは大いに盛り上がっていた。
僕はイライラしながらページをめくる。
ちょうど物語の主人公も煮え切らないヒロインにイライラしているところだった。
たかが席替えでそこまではしゃげるもんなのか。むしろ感心するよ。心の中で舌打ちをする僕。
男子たちは猿みたいに飛び上がるし、女子はホイッスルみたいな叫び声をあげている。耳鳴りがひどくなってきた。
大はしゃぎする集団の中に、男子生徒がぽつんと一人だけ黙々と本を読んでいる。
そんな光景はとても不思議な感じがするんだろうな。
自分で考えてもおかしいのだから客観的に見たらなおさらおかしいに違いない。構わない。僕は本を読めれば後はどうでもいいから。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 84