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小さな挨拶side吉岡尋海
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まさかここまでハードルが高いもんだとは。「おはよう」の一言が言えない。ああ苦しい苦しい…!なんでこんなに苦しいんだ!
旭の整った顔立ちを見ているだけで胸がきりきり締め付けられる。
横顔を見ているだけで今までの予行練習が吹っ飛んだ。
鏡の前で何度も練習したのに!「おはよう」って昨晩何回ささやいたと思ってんだよ!軽く30は超えてるよ!
妄想の中でも旭を思い浮かべたけど、本物の威力は凄まじい。ううっ腹痛くなってきた…。
「なっなにか用かな?」
自虐に浸っていると旭から声を掛けてきてくれた。「ひっ」なんて間抜けな声が出かけたけど、根性で飲み込んだ。情けない声を旭の前であげれるわけがない!
きっかけを作ってくれたんだ。後は俺が頑張るだけ。旭のおかげで緊張がややほぐれた。いけ俺。男を見せるところだ!
「お………」
「………お、はよう」
めちゃくちゃ裏返っちまった…。言えたけども。
これはだめだ…。変な奴だと思われた…。絶対変な奴だと思われた…。
絶望が俺の胸を支配しそうになったとき、本と俺の間に視線を彷徨わせていた旭が、しっかり俺の方を見た。困ったような表情が心臓に悪い。
「おっおはよう…?」
旭の挨拶。旭が俺に向かっていった挨拶。認知したらどうしようもないほどの喜びが込み上げてくる。だらしなく緩んだ頬を見られたくなくて旭に背を向ける。自分の席に座りこんで顔を伏せた。
いかん。気持ち悪いぐらいにやけてる。だって嬉しいんだもん
今日はとってもいい日になりそうだ!
ほくほく気分の今なら空だって飛べそうな気がした。
今度は頑張って「バイバイ」って言ってみようかな。
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