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ころころ。side旭秀治
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「これ………」
吉岡君は躊躇うように口を開いた。
授業中だということを考慮してか、ずいぶん小声だった。
よわよわしい声音に驚いて目を丸くする。
もっとはっきり言うタイプだと思い込んでた。
人は案外見た目によらないものだね。
相変わらず怖さは軽減されないけども。
そっと差し出されたのは僕が落とした消しゴムだった。
ころころ転がっていった消しゴム。
吉岡君が拾ってくれたのか。
今日一番の驚きだった。
気づいていたんだ。
気づいてくれても蹴り飛ばされるとか思った自分が恥ずかしい。
こんなに丁寧に差し出してくれるなんて。
躊躇していると吉岡君の眉間の皺が濃くなってきたので慌てて摘みとる。勿論お礼も忘れずに。
「あっりがとう………」
鼻をならして吉岡君はまた前を向いた。
その横顔はぶっすり歪んでいて。
僕の対応が気に入らなかったのかな?
らしくもないことをしちまったぜ。って後悔してるのかな?
面倒かけさせやがって。って怒ってるのかな?
うう、やっぱし怖いなぁ………。
感じたばかりの好感度が下がっていく。
恐怖は好感を勝るのだ。
でも、落ち着いて直視したら結構顔綺麗なんだなって。
どうでもいいことを考えた。
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