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机をくっつけるside旭秀治
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やばいやばいやばいやばいなんで忘れてきたの僕の馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!
自分自身をぶん殴ってやりたい衝動に駆られる。
でも僕が拳で殴っても絶対痛くないよ。子猫と戦って負けた僕だ。きっと蛙と戦っても負ける。だって蛙怖い!あいつらピョンピョン跳ねて迫ってくるんだよ!?勝てっこないよ!
髪の毛を掻きむしりたかったけど、奇行に走る勇気すら僕は持ち合わせていない。
クラスメイトが急に発狂したら怖いでしょ?そのまま僕は卒業まで変な奴って認識されて孤独な高校生活をおくるんだ…!うわああ怖いいいい。
ここは耐えるんだ。何もなかったように前だけを見据えろ。
がたがた震えそうになる肩を抱きしめて目立ってはいけない。息すら慎重に行う。僕は空気…僕は酸素…僕は二酸化炭素…!極限まで影を薄め教室に溶け込まないと!
「ん?旭教科書は?」
「わっ忘れました………」
僕の努力もむなしくあっさり忘れてきたことがばれてしまった。ここで誤魔化すことはほぼ不可能。正直に答えた僕に、先生はあっさりと死刑宣告を告げる。
何故僕がここまで教科書を忘れたぐらいで怯えているかというと。
「なら隣の人に見せてもらえー」
窓際の席の隣といえば、もう一つしかない。
数学の先生は教科書を忘れた人に対して冷酷だ。他の教科なら貸してくれる可能性もあったかもしれないけど。
僕は冷や汗を垂らしながら油の切れたブリキみたいに横を向いた。
ばっちり吉岡君と目が合った時、心臓が止まったかと思った。もちろん悪い意味で。
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