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机をくっつけるside旭秀治
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本格的に授業が始まった。黒板にチョークを滑らせ時折こちらを振り返って方式を説明する。
僕はいつも以上に頑張ってノートをとっていた。
気を緩めた瞬間、隣からナイフがつきたてられるという妄想を力にして。
ときどき隣を数秒だけうかがって、またすぐに前を向く。その繰り返しだった。
吉岡君は机に伏せて眠りに落ちていた。
こてんっと力が抜けたかと思うと一瞬で寝息をたてはじめるなんて、どこぞの昼寝が得意な少年を連想させた。
感心はしないけど、ぶっちゃけ助かる。
気を遣わなくても相手は深く眠っているのだから。物音を最小限にとどめれば後は何もしなくてもいい。
このままいけば何事もなく授業を終えることができる。
一抹の希望を抱きながら全力で神経を黒板に費やした。
正直まだ緊張しすぎて数式なんて頭に入ってこないけど。気を紛らわせるには充分だ。
残り10分を切った時、異変は起こった。
「んじゃーそこで寝こけてる吉岡。この問題の答えはなんだ?」
こつこつと白チョークで黒板をたたきながら言った言葉は耳を疑う。ペンがころりと机に転がった。
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