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机をくっつけるside旭秀治
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吉岡君があてられた問題は、すでに僕が解き終わった場所だった。
眠っていた吉岡君が分かるはずがないだろうなって思ったけど本気でそうだったらしい。
どんどん吉岡君の機嫌パラメーターが降下して言ってる気がして、隣りにいる僕はいたたまれない。おうちに帰りたいよ。
なんて毒づく内心とは裏腹に僕は吉岡君を助けた。
恐ろしさで汗がべっとりになった掌で吉岡君のブレザーを握る。気づいてくれないかと思ったけど、彼は気づいてくれた。
僕、何してるんだろう………。これ以上関わりたくないのに………。
別に答えられなかったからってひどい目にあうわけでもないのに。
自然と教科書の隅っこに答えを書いて指し示していた。
自分から吉岡君に関わりに行く自分がとても信じられない。
何がしたいんだろう僕。うう、余計なことするなって殴られたりしないかな?吉岡君のプライドをへし折っちゃったかも。うわああ、するんじゃなかったかもおお。
泣きそうになりながらペンを握り締めた。
「ありがとな」
授業終了のチャイムとともにいそいそと、しかし手早く席を戻そうとした時、ぼそりと吉岡君がささやいた。気がする。
「うっうん………」
もしかして僕に言ったのじゃないかもしれないので、小さく返事をした。
違うかったらすごくはずかしいよね。でもちょっとだけ憂鬱が軽くなった気がする。
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