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菊池彰と神崎優馬①
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優馬は中学部見学から戻り、自分の自習室の椅子に腰掛けていた。
優馬の機嫌は悪かった。
見捨てられる、飽きられる。
自分は菊池先生のオモチャのひとりに過ぎない。
たまたま今、先生に気に入られているだけ。
黒谷透だって、きっと前の----
いや、そうと決まったわけじゃない、そうじゃないかもしれない。
あんなの、黒谷透のハッタリで、俺の反応を面白がっていただけかもしれない。
「あ〜〜、もうっ!!」
自習室で菊池を待つ間、いつもは勉強して待っている優馬だったが、今日は気持ちが落ち着かず、頭を掻きむしっていた。
コンコンコン、
ノックが3回鳴って、菊池だとわかる。
鍵が開けられ、扉が開いた。
「先生…ッ」
菊池の姿を見た途端、優馬は渦巻いていた不安をぶつけるように菊池に飛びついた。
「優馬…どうした?」
「……っ」
先生、
黒谷ってだれなの?
先生とどういう関係だったの?
先生の家、マンションだって知ってたよ。
どうして?
聞きたいことが押し寄せてくるのに、先生を目の前にすると言葉が出てこなかった。
-----あんまり馬鹿だと、見捨てられちゃうから----
------気をつけたほうがいいよ?-----
先生を責めたら、面倒臭がられるだろうか。
「先生…黒谷先輩って…」
「あぁ」
「どんな生徒だったんですか?」
優馬はできるだけ平然と、ただの興味という感じで質問した。
「あいつに何か言われたのか?」
「なにも」
「なにも?」
「はい、なにも」
「優馬、お前は嘘が下手だ」
菊池は優馬の髪をそっと撫で上げ、不安を溶かしてやるようにキスをした。
涙を堪えていた優馬は、その優しいキスに雫が溢れてしまった。
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