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【最後の任務】*結人side
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ー彼の名は立花 遥燈だと言った。
緊張した様子で、自己紹介していた。
その時はまだ、遥燈が月氷の黒猫だとは知らなかったけど。
たまたま一緒に撮った写真が死神にバレてしまって。
遥燈が捕らわれることになった。
申し訳ないと思う。
遥燈はいいやつなのに。
遥燈と戦ったことがある人には分からないんだ。
黒猫の意味を。
決して悪魔ではないことを知らなかった。知ろうとしなかった。
だから俺が教えたかった。
でも、死神の逆鱗に触れたようだった。
「はぁ?黒猫に手を出すな?笑わせんじゃねぇぞ。」
「……冗談ではありません。あなたが遥燈に手を出すと言うなら、俺はこのBlack moonを辞めます。」
死神にそう、はっきり聞こえるように言うと、奴は少し何かを考えてから、ニヤリと不気味に笑い出した。
「……へぇ。上等じゃねぇか。なら、最後の任務を与えてやる。」
…やった!
その場でガッツポーズをしそうになったがなんとか抑えた。
「ありがとうございます」
「……お前はそんだけ黒猫が好きなんだなぁ…。なら、最後の任務はきついかもなぁ。」
……そこで嫌な予感がした。
冷たい汗が背中に伝う。
息が……。
「最後の任務だ。
……月氷の黒猫を捕らえろ。」
「…は?」
思わず出てしまった言葉は、空気に吸われるかのようにして消えた。
「文句があんなら、さっきの件は考えられねぇなぁ。……どうするよ?」
……脳が叫ぶ。
遥燈を助けなきゃ。
でも、どうやって?
遥燈を捕らえろって……つまり遥燈を裏切ることになるのか。
そんなこと……。
でも、そんなことすれば自分は……俺は……遥燈に見捨てられる……。
でも、でも遥燈を……。
「どうする?」
死神はワントーン声を低くしてそう言った。
タイムリミットだ。
今言わなきゃ。
選択肢は二つ。
……自分を守るか、遥燈を守るか。
……そんなの決まってるだろ、結人。
「俺は遥燈を助ける。……最後の任務、させていただきます。」
「おぉそうか。お前ならそういうと思ったぜ。じゃあ頼んだぜ。」
俺は部屋を出てギリッと歯を鳴らした。
悔しい。奴は計画通りだったんだ。
……なんでこんなところ入ったんだっけなぁ。
悔しいよ遥燈。
ごめんね。
………許して。
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