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【好きだからこそ気づける。】*誠side
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屋上に行くと、また遥燈先輩を見つけた。
だけど、心なしか魂が抜けてるようにしか見えない。
……相当ダメージが大きいのかな。
「あ、遥燈先輩。いきてます?」
「……あー…誠くん…………こんばんわ」
「今昼ですけど。一人飯ですか。一緒に食べてもいいですか?」
「どうぞ!結人が来なくて死にそうだったし。」
「……結人って…停学になった人ですか?」
「……ん?停学になったの?全く来ないから退学になったのかと思ってた……。」
停学だってこと知らなかったのか。生徒会と仲いいけど、もしかしたらあの2人、伝えることに少し躊躇してたのかもしれない。
そう言えば……
最近、心がおかしくて、へんな気持ちが続いてもやもやする。もしかしたら遥燈先輩は知ってるかもしれない。
「遥燈先輩、聞きたいことがあるんですが。」
「何?」
「僕、前に会った時から、遥燈先輩を想うと辛かったりワクワクしたりするんですけど、どんな感情です?」
「……えっ」
「会えないと寂しくて、会ったら心拍数が上がって緊張する。顔を見れば嬉しくなる。声を聞けば耳に残っていて、発情するような……」
「ストップストップ!!は、発情とか言わない!」
「でも他にどう表したら……。」
「いや、落ち着こう!一旦!うん!落ち着こう!」
「……先輩が落ち着いてくださいよ……」
そういうと、落ち着くけど、何かを考え出したのか、また1人で慌てている。百面相みたい。
「……なんか僕、変な事言ってます?」
「うん!言ってる!ていうか変なことしか言ってない!」
「えっ……」
へ、変なことしか言ってない……?
でも分からないんじゃあ……。
本を沢山読んでる僕なら分かるはずだ。
会えないと寂しくて、会ったら心拍数が上がって緊張する。顔を見れば嬉しくなる。
そして発情……。欲求……。
「……好き」
「え?」
「僕、先輩のこと好きかもしれません。」
「!?」
「遥燈先輩、合ってます?」
「……えっ……。そ、それを俺に聞く……?」
「……分からないですし……。あ、そうだ。先輩、試しに僕のこと抱きしめてもらっていいですか?」
「(´°Д°`)」
先輩が心の底から嫌そうな顔をする。
……ダメかな。
「……ダメですか?」
遥燈先輩は何かを悩んで、僕に両手を広げた。……これは?
「ん!おいで!」
抱きつけってこと?
そうですよね?
ていうか……可愛すぎ……!
「さぁ、俺の胸に飛び込んでこっ…うわぁっ
誠くん、いきなりはびっくりするってば。」
「……すみません。先輩が可愛く見えて……」
「お、おおぅ。そうか。よしよし。」
「……先輩、辛くないですか。」
「…何が?」
「とぼけないでくださいよ……。いじめ、酷くなってるんでしょう。辛くないですか。」
「……辛い、かぁ。特に辛くないけど、片付けが大変かな。」
「…だから精神不安定なんですね。」
首を傾げる先輩。意味を理解してないようだ。まぁそうですよね。
「…先輩は今、辛いっていう感情を忘れてます。それは先輩が、裏の自分……でしたっけ。それを殺しているからです。二度と傷つかないように、負の感情を作り出す裏の自分を殺してる。」
「……辛いって感情?それならさっき、片付けがって……」
「その辛いは肉体的にです。体動かしたり、頭使ったりするのが面倒くさいとか、そういうことでしょう。でも、いじめは違う。心の闇を生み出すもの。それが今、先輩に無いのは、やっぱり殺してるからだと思うんです。」
「……既に、殺してたってこと?
……でも、確かに……辛いって…どんな感情だったっけ。」
「…全校生徒から、ひどい扱いを受けて、悲しくなりませんでしたか?罵られて、痛いって思いませんでしたか。」
「……」
「先輩、辛いんじゃないですか。」
……つ、伝わったかな。説明するのは上手くないからなんとも……。
……あ。先輩。ちゃんと、
「…泣いてるじゃないですか。」
「!う、嘘、だって俺……全然……!」
「辛いと感じなかったのは、表のあなたが守っていたんです。
これ以上、あなたの心に負担をかけないように。でもですね、先輩。
負の感情があるのは、悪い事じゃない。
"前の学校に戻りたい"っていうのも、その一つです。知らないうちに、心はボロボロだったんですよ。
でもあなたはどうして"前の学校に戻りたい"と思うのかが分からなかった。……それが精神の不安定さに繋がる。心が受けてるダメージの量を把握できないから、
精神は不安定になる。
気づいてください。あなたの心はもうズタボロなんですよ。」
「……ずた、ぼろ…………う……っ、」
「泣いていいんですよ。そのために涙はあるんです。」
「……ごめん……っ、ありがとう、誠くん……。」
なんか、厨二病っていうか、ナルシストっていうか、とりあえず、自分の言ったことが気持ち悪い……。
でも、遥燈先輩の心に刺さったならいいか。
好きだから、好きだから気づけたんだ。……好きになったのが遥燈先輩で良かった。
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