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【もうひとりの】
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それから
抵抗しなくなった。
出来なくなった。
いざ喧嘩をしようとすると、脳裏に焼き付いた、死神とのあれが思い出して、
もう助けてくれる人はいないのかな、なんて思ってしまって。
わかってる。
このままじゃよくないことも、精神までもが逆戻りしてしまうことも、わかってる。
理解してる。
でももう手遅れなんだ。
毎日毎日、少しずつ心が削れてるのに、また気づけなかった。知らなかった。
「……どうしたらいいんだろう。俺、また失敗しちゃったのかな。…結人……、
もういいから連れていってよ……。」
最後は、涙ぐんだ声色になってしまって、自分でも何を言っているのかわからなかった。
その言葉は、誰もいないこの教室で響いた。
でもすぐにまた、掻き消されてしまう。
「人殺しの癖に、被害者に頼ってんじゃねぇよ。」
「桐島 風人……。」
「最近暴れてないようだな?なんだ、つまらねぇ。もう壊れたのか?意外とか弱いもんだな。」
俺は半分以上、何も聞いていなかった。
これからどうしようかとか、いっそ死んでしまおうかとか、変なことばかり考えて。
考えちゃダメってわかってるのに。
「おい、聞いてんのかテメェ。」
その声を聞いたのは、もう違う俺だった。
崩壊した、俺。
あの時の、……戻ったんだ。精神も、時も、全部戻ってしまった。
そう、壊れてしまった。
ガラクタとなったのだ。
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