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【心の拠り所】☆
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考えろ。
ゆっくり、確実に止められる方法……
……っ、分かんない、どうしたらいいんだ……。
ゆっくり、ゆっくりと思っていればいるほど焦る。
無能なほどの己の能。
なす術は……ないのか?
* * *
屋上で、今日一日の出来事を思い出した。
不思議なくらいに、風人は声をかけてこなくなった。
なんで?
嫌な予感がする。
用心しなきゃダメかな。
「……助けてよ……」
誰に聞かれることもなく、消えていった。
いや正確には1人だけ、たった1人だけに聞こえてみたいだ。
ザリっと、砂を踏む音が聞こえた。
俺は音がした方を見ると、いつだったかの誠くんがいた。
「あれ、誠くん……もしかして聞いてた?」
誠くんは何も言わずに、ただただ頷いた。
「そっか。あ、そうだ。最近調子どう?元気にしてた?なかなか屋上これなかったしさ。俺はねー、道で野良猫見たんだ。そしたら擦り寄ってきてくれてさ!可愛かったよ。」
勿論、猫なんて見てないのだが。
嘘だ。
表の、俺。
せめて好いてくれる人が欲しかった。もし今でも好きだと言ってくれるなら、1人でも、自分を守ってくれるー……
……なんてこと無いのだが。
いい加減なやつだ。俺も男ならバシッと決めたらいいものを。
「…先輩は…何でそんな演技を……!」
「本当のことだよ。……信じてくれないのか?」
そういえば、誠くんは黙った。
ごめんね、騙すような事言って。
でももう耐えられないから。
「何でそうやって隠すんだよ!!」
「っ!?」
いきなり立った誠くんは俺を見てそう叫んだ。誠くんの大声を聞いたのは初めてで、どうも困惑した。
腹が立っているのか、敬語すらない。だけど、俺に誠くんの勢いを止めることは出来なかった。
「苦しいなら苦しいって言えよ!!そんな上っ面なあんた見たってこっちは嬉しくないんだよ!!
相手の気持ち考えるふりして、結局守ってんのは自分じゃないか!
いつになったら!いつになったら……っっ
もういい、僕はあんたのことが大っ嫌いだ。そうやって人を欺いて、誰ひとりとした人間を信用しない。心の拠り所を見つけない、作れない!
だから無理矢理にでもあんたの心の居場所を僕のものにしてやる。」
「は?ちょ、まっ……っ!!」
誠くんは俺の肩を力強く押し、俺を押し倒した。
押された力にはもう、優しさなんてものはなかった。
誠くんの瞳にはもう光が無かった。
正気を失ってる……!
誠くんは俺のブレザーを脱がすと、ワイシャツを掴み、強引に左右に引っ張った。
その衝動でボタンが弾けた。
「せ、誠くん!!やめろっ……!今なら、今ならまだ許せるからッ……!!…ひっ…!」
「許す?僕、なんか許しを請うようなことしましたっけ」
現在進行形ですから!!
現在進行形で許しを請うことしてるから!!
そんな俺のツッコミも、誠くんには届かない。
むしろ自分の今している事の意味を理解してない。
「誠くん!せいくっ…、ぅあっ……」
「へぇ、こんな所でも感じるんですね。実は本当に淫乱だったり?」
「ちがっ、ひぁっ……ッッ」
誠くんは俺の胸を弄りながらそう言った。
違う、違うのに。
そんなことないって、信じないって言ってくれたのは誠くんなのに。
誠くんは欲にまみれた獣のように、息が荒かった。
逆光で見える彼の顔の中、光るのは汗と目。
それがまた恐怖で仕方がなかった。
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