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総受けのフラグ(2/13)
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とりあえず、あれだ。
「三橋早く案内して」
三橋の袖をくいくい引っ張ると何故か嬉しそうに頷いてきた。
「うん!」
犬みたいだな、三橋…しっぽが見えてきそうだ。
あとそれから。
「えっと、さい……あれ、さい…何だったけ名前?とにかくそこの黒マリモくんはそのヘンテコな変装どうにかしないうち俺に近づかないで」
「黒マリモ…!? 名前は西條 凪!どうにかって……この変装どこがヘンテコなわけ?」
どこが変か気が付いてない、だと……?
センスが悪いんだな。
「まぁ、知り合いにでも聞けば。じゃ」
これ以上時間を無駄にしたくないから三橋の背中を押して促す。
するとまた黒マリモが声をかけてきた。
「大崎っ」
チッ、しつこいな。
「何?」
「俺も理事長に会いに行きたいんだけど、ついてっていい?」
「勝手にしろよ。でも5メートルは俺から離れて歩いてくださいな」
「うん、勝手にする!ありがとう、大崎」
冷たくしているのになんでそんなに嬉しそうな顔をしているんだ、君は。
あんな分かりやすいMっているんだな。
「やばい……大崎やばいよ。あいつベタ惚れしてるじゃないか」
そして三橋は何でむつかしい顔をしてんの?
「よしよし。三橋、あとは頼んだぞ(道案内)」
「分かった。大崎の貞操は俺が必ず守る!」
「どっから貞操出てきた」
三橋とはうまく会話が噛み合わないなぁ……。
……学校の中も期待を裏切らず、煌びやかで豪勢な造りだった。
どっから金出てくるんだ、こんなに。
ていうか広すぎて覚えられないんですけど…まぁ、今後三橋と行動していればいいか。
何気なく後ろを振り返ると、こちらを凝視する黒マリモが目に入った。
5メートル後ろにいる黒マリモは、俺の視線に気が付くと嬉しそうに手を振ってくる。
「……何だかなぁ……」
「何?どうした?」
「いや、別に……」
三橋は不思議そうな目で俺を見ると、おもむろに人差し指をつき出してきた。
そしてその指を俺の眉間においてぐりぐりしてくる。
「ちょっ、何すんだよ!」
「大崎っていつも眉間にシワ寄ってるよな。跡残るぞ」
「……仕方ないだろ」
癖って直すの大変だよね。
俺が三橋の手を掴んで止めさせようとしたとき、後ろから突き刺すような視線を感じた。
「……黒マリモが何故かこっちを見て睨んでくるんだが」
「ずばりヤキモチだな」
何に対するヤキモチだよ?
「まぁ、大崎は気にしなくていいから。それよりさ」
三橋は続きを渋るように黙るとジッと俺を見てきた。
何?何ですか?首を傾けて見つめ返す。
「その……大崎のこと、名前で呼んでいい?」
「…勝手にしろよ」
深刻そうな顔してたから重大な事だと思ったじゃないか。
三橋は何故かやったーといってバンザイをしているが……ワンコみたいで可愛いと思うよ、うん。
「お、俺も呼んでいい!?」
何故か後ろにいる黒マリモが俺に向かって叫んでくる。……地獄耳ですか?
「てか、変装やめるまで話しかけるなって言ったよな、俺」
「あ……」
黒マリモはハッとした表情をすると口を閉じる。
それにしても黒マリモくんの素顔ってどんな感じなんだろ……?気になります。
「なあなあ、真琴」
…嬉しそうに俺の名前を呼んでくる三橋。
「何?」
「俺の第一印象ってどうだった?」
急にどうした。
第一印象?うーん……。
「うざい。」
「……!」
三橋は目を見開くとショックのせいかその場でうなだれた。
「そっか……そうなのか……」
「まあ、あくまで第一印象だし。いい面もあると思うよ」
「たとえば……?」
……イタいところ突かれちまったぞ。
「えっと、明るかったり優しかったり世話焼きなとこだったり」
「ホントか……!?」
「うん、現に今学校案内してくれてるし」
「そっか……ありがとう真琴!」
「別に」
だって俺、ありがとうって言われるような事してないよね。
「真琴、ここだよ」
「さんきゅ」
三橋が指した方を見ると、他の所とは格段に質が違う扉があった。
早速ノックしようとすると三橋に腕をガシッと掴まれて阻止される。
「待って、真琴!」
「何?」
「危険だ、ここは西條にノックさせよう」
えっ、どんな危険が待ち受けてるんですか?
三橋は黒マリモにノックする事を促すと、本人は渋りながらもコンコンと扉を叩く。
……その刹那、重厚な扉が風を切って開かれたと思うと、黒マリモがズルッと部屋の中に引きずりこまれた。
え……何?
今何起きたんですか?
黒マリモの姿が一瞬で消えたんですけど。
「やはりこうなったか」
「えっ!?」
予知していただと……!?
さっきも思ったけど、三橋ってすごいな。
とりあえず部屋の中を覗いてみる。
……お?
おかしいな、俺の目に黒マリモを熱く抱擁している中年男性が映っているぞ。
眼科に行った方がいいかな俺。
「ちょっ、止めろよおじさん!」
「凪くんでっかくなったなー。変装してもその可愛さは隠しきれてないよ、うん」
「関係がおじさんときたか……あれだな、多分おじさんがホモとかそんな感じだな、きっと」
やべぇ。三橋までぶつぶつと変な事言ってるじゃないか。
俺に味方がいない!誰もいないお!
俺が心の中で地団駄を踏んでいると、気色悪い中年男性と目が合った。
「あ、君が大崎 真琴くんだね」
何で俺の名前を……。
はっ、もしかしてのもしかしてあんたが理事長とか言うんじゃないだろな。
「私は理事長の西條というんだが……とりあえずここに腰かけなさい」
理事長だし。
いきなり黒マリモに抱き着く中年男性が理事長?
副会長といい、この学校何?
みんな常識というネジが外れているんじゃないのかまったく。
「真琴、座ろうぜ」
「あぁ……」
三橋は……若干変なとこあるけど普通だな。
今の俺にとって安らぎの場はお前しかいないよ。
部屋にあるソファーに座る際、三橋にぐたっと寄り掛かるように腰かけるとビクッとした反応が返ってきた。
「あ、ゴメン?」
「い、いや、うん」
三橋は何故か頬に朱を走らせてそっぽを向くとそのまま黙ってしまった。
…………ぅ。
そこまで嫌がる態度を見せつけられると傷つきます。
気を取り直して姿勢を正すと、テーブルを挟んで向かい側のソファーに黒マリモと理事長が腰かけた。
仲良さそうだな。……もしかして知り合い?
「この子は私の甥にあたる。今期一緒に転校してきたのも縁、仲良くしてやってくれ」
「身内ねぇ……」
いくら可愛がっていたとしても普通人前で抱き着かないよね。
少しはわきまえようよ。
「それと、ここの欄に名前を書き込んでくれ。それで正式に転入した事になる」
「あの、他の手続きは……?」
「あー、"ヒロさん"だっけ?あの人が事前に何もかもやってくれたよ」
……やっぱり。
何かおかしいと思ってたよ。
何で俺を通さず勝手にやるかな?
つか、じゃあ事前に全寮制であることも分かってたって事じゃん。
いきなり昨日になって「荷物詰め込め」って言うし今日は今日で「学校行く準備しろ」って言うし。
別に嫌じゃないけどほんと強引だな。
(今に始まった事じゃないけど)
……旦那のばか。
電話後回しにしてやる。
俺はむすっとした表情を浮かべると指定された場所に名前を書き込んだ。
まぁ、旦那が確認してるなら大丈夫か。
理事長のお父さんに感謝しないと。
やっとじいちゃんにいい治療を受けさせる事ができるぞ。
「土日バイトに出ていいですか」
「うん、というか絶対行ってね。じゃないと私が……いやなんでも…」
やっぱり色々脅されてるみたいだな。
「何か……難しそうな話してるけど、そういうの親にやらせればいいんじゃねぇの?」
「俺、両親いないし」
三橋が急に口を挟んできたため、ズバッと言い返す。
「……あ……、そのゴメン」
「別に。気にしてないし」
反対にそういう気遣うような態度されるとイライラするんだよね。
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