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総受けのフラグ(6/13)
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従業員の人も「ヒイィ!」とか言ってハンバーグ取りに行っちゃったじゃないか。
「次にくる展開は生徒会メンバーか……!何としてもその矛先を真琴に向けさせてはならないな。西條を総受けにしないと。
チッ、まさか食堂イベントをこんなキツイものに感じる日が来ようとは……」
「あの……三橋?ハンバーグできたみたいだけど?とりあえずこっちの世界に戻ってきてくれ」
後ろの列も詰まってきてるし。
一人だといたたまれないではないか。
「大崎、早く座って食べようぜ」
あ、そういや黒マリモもいたな。
忘れかけてた、ごめん。
「聞こえてるよ大崎……!酷い独り言が漏れてるんだけど、しかも黒マリモじゃなくて西條だから…!」
「あー、ゴメソ、ゴメソ」
「何そのめちゃくちゃ感情がこもってない謝り方…!逆に傷つく…」
「何仲良く二人で話してるんだよ、西條。早く座ろう、真琴」
「んー…」
無事こっちの世界に戻ってきた三橋にうどんの乗ったお盆を持ってついていく。
すると黒マリモがオムライスを持って俺の横に小走りでついてきた。
「でも俺、大崎のそういう冷たいところも好きだから!」
お前やっぱりドMだろ。
とりあえず空いてる端の席に座ると、三橋が俺の右に、黒マリモは俺の向かい側に座った。
「いただきます」
「「……い、いただきます」」
俺が手を合わせて言うと二人がそれを見て真似た。
いつもは言ってないみたいな雰囲気が出てるぞ、お前達。
「いただきますってさ、その命を美味しく食べさせて「いただく」の意味でいただきますって言うらしいよ」
俺がそうボソッと呟くと、二人が口の中に入れたものを危うく噴きそうになっていた。
「何で今そんな事言うんだよ」
三橋がけほけほと咳こみながら聞いてくる。
「別に。ただお前らを生かす為に命を差し出してくれた牛や鶏の為にも残さず食えよって事」
いこーる貧乏人の説教です。
だって周りの奴が当たり前のように飯を残してるのが見えたから少しイライラしたんだもん。
「真琴……何故か俺母ちゃんを思い出したよ」
「大崎……そうだよな!俺ちゃんと美味しくいただく!」
感動して思い出にひたり始めた三橋を横目に、俺はずるずるとうどんをすする。
黒マリモはというと、オムライスを美味しそうにもぐもぐと頬張っている。
……ん?美味しそう……?
そうだよ、俺最初オムライス食いたかったんだよな、ほんとは。
食いてぇな、オムライス。
えー、右方向を確認します。
よし、三橋は自分の世界にトリップ中。
「ねぇ、オムライスちょっと食わせて」
黒マリモに駄目元で頼んでみる。
それを聞いた黒マリモはわたわたと慌てると顔を赤くして吃りはじめた。
「えっ、え、オレの?」
「お前の皿以外のどこにオムライスが存在するんだよ」
「で、でも食ったら間接キスになるんじゃないの?」
何だ、そんな事気にするのか。
割と女々しいんだな、お前。
「大体間接キスをカウントするならさっきもうしちゃってるし」
あの腹黒副会長のキスという口移しで。
うぇっ、うえぇっ。
チッ、汚いもん思い出したじゃねぇか。
「あ…そっか、そうだよな。俺大崎ともう間接キスしてたんだ」
おい、お前何で顔赤くしてんの。
副会長にキスされたとき顔赤くしてなかったのに、何で間接キスで顔赤くするんだよ。
ツボおかしくないか?
「で、くれんの?くれないの?」
早くしてくれ。
オムライスにうるさい三橋がこの世界に戻ってきてしまう。
「あ、あげるよ、もちろん……!はい…っ」
黒マリモはオムライスが盛られたスプーンを俺に向けて、
……つまり"あーん"を催促してきた。
野郎にあーんされても嬉しくねぇよ。
俺はスプーンを持った黒マリモの手を掴むと自分で口に持っていく。
「ん、うま」
あむっと食べると黒マリモがビクッとして更に顔を真っ赤に染めた。
……何?
俺が不信な目で黒マリモを見つめていると、急に周りがぐわっと歓声をあげた。
黄色くて、少し野太い声やらが「キャー」とか言うのを想像してみろ…かなりきしょい。
「会長様だ……!」
「副会長様も一緒に!珍しい!」
──副 会 長?
「来たか……!」
三橋が歓声に呼応するかの如く目覚めた。
そして、その開眼した血走った眼で俺をジッと見てくる。
だから怖いって。
「真琴、よく聞け。生徒会メンバーに目をつけられるとやばい。あいつら親衛隊があるからリンチされるかもしれないし、とにかく面倒な事になる」
「うん……?」
「副会長には殴って目をつけられちまってるし、会計にも顔を覚えられた」
会計……?
いつ顔覚えられたんだ?
「廊下で真琴が服を剥いだ奴だよ、通称チャラ男会計」
「……っ、あぁ、あれね」
恥ずかしかったよ、あれ。
へー、チャラ男なんだ……。
「会計や書記は無理矢理手を出してくる奴じゃないけど、会長や副会長は違う。今その二人が来てるから気をつけろ。
あいつら珍しいものだったり抵抗する奴が好きなんだ、だから」
「周りに紛れてテキトーにチヤホヤはやしてればいいってこと?」
俺がそう言うと三橋がこくこくと激しく頷く。
にしても会長といい、副会長といい……めんどくさい奴ばっかりだな、おい。
「まぁ、とりあえず俯いてて。まず見つかんなきゃ何も起きねぇし」
「うん」
三橋きびきびしてるなぁ。
何かカッコイイぞ。
「にしても何で三橋は俺のためにそこまでしてくれるの?」
そう聞くと三橋がギクッと体をびくつかせた。
「友達だから……」
「ふーん……?」
「そうだよ……俺腐男子なだけでノンケのはずなんだよ。なのに、なのに……ハァ……」
「えっと……、何か聞いてごめん…?」
三橋撃沈。
おろおろと背中をさすってなだめていると、俺の耳がムカつく奴の声をキャッチした。
「お前が気に入った奴ってどんな奴だよ」
「少し黙っていてください、会長。
多分この中にいると思うんです。……山田 太郎くん……」
会長と副会長だ。
だんだんとこっちに近づいてきている。
どっちもムカつくくらいイケメンでイライラするな。
にしても、山田 太郎……随分古風な名前の奴だな。
……ってあれ?待てよ?
「山田 太郎って俺が副会長に名乗った偽名じゃないか……?」
おぉふ、俺を探しているのかあの副会長は?
やばいじゃないか。
やっぱり殴った腹いせに殴り返しにきたのか?
どうか……見つかりませんように。 俯いていると、副会長は俺の後ろを気がつかずに通りすぎて行ったかのように思えた。 が、ある事が囮となり副会長が戻ってきてしまう事になる。 ……そう、黒マリモだ。 お前のヘアスタイルとグルグルメガネ目立つんだよ…っ。 副会長は俺の丁度後ろで止まるとテーブルの向かい側にいる黒マリモに話しかけた。 「あなたは……西條 凪くんではありませんか。フフ、さっきぶりですねぇ」 「ゲッ」 二人が言葉を交わすと、周りが嫉妬の波を引き起こす。 たまに暴言も聞こえるし……確かにコイツらに目をつけられたらヤバそうだ。 黒マリモ、早く会話を打ち切ってくれ。 すぐ後ろに副会長が立っているんだから。 俺が懇願の目でジッと見つめると、黒マリモはカアッと頬を朱に染めた。 「おや、私に話かけられてそんなに嬉しかったのですか?西條くん」 「は?違うけど。勝手に勘違いすんな…じゃなくて、しないでください」 相変わらずたどたどしい敬語だなぁ……。 黒マリモが席をガタッと立ち上がって副会長にものすごい剣幕を見せつけると、別の声が俺の後ろから聞こえてきた。 「ククッ、随分威勢がいい奴じゃねぇか。こいつがお前のお気に入りか?」 「探していたのは別の方ですが、西條くんもお気に入りですよ」 会長と副会長が俺の後ろで言葉を交わす。 頼むから、三人とも別の場所で展開を生みだしてくれ。 こっちはいつバレるかでドキドキなんですけど。
隣をチラッと見ると、三橋が小声で「キタコレ……!」と言ってガッツポーズをしてる。
何か嬉しい事でもあったのか?
安心しているのも束の間、会長が俺の体をドンっと押しのけてきた。
「フーン、西條か……面白そうだな。おいお前、邪魔だから避けろ」
「わ……っ」
押された腕がうどんの器に当たり、強い反動でつゆが波打つ。
そしてあろう事か、中のその熱いつゆが溢れて会長の手の甲にピシャッとかかった。
「熱……っ!お前…っ!」
「ちょ、やめ…っ」
会長が怒って俺のネクタイを掴んでくる。
というか今のは不可抗力だろーが。
大体あんたが俺を押してくるから悪いんだし。
なのに周りは「あいつ、会長の御手にやけどを負わせた…!」やらなんやら……
何なんだよ、一体。
副会長ともバッチリ目が合ったし、ほんと最悪だ。
何で俺こんなに運悪いんだ…?
波瀾万丈すぎてついていけないんですけど。
もうやだ……。
半分脱力して会長の鋭い目つきを受け流していると、三橋がガタッと立って会長と俺の間に無理矢理入ってきた。
「かいちょー。やけどはいかがですか?それとも俺が介抱してあげましょうか、あはは」
「ヒ……ッ!お前は親衛隊の…っ!俺様に触るな!」
会長は三橋を目に映すやいなや、パッと俺のネクタイから手を離して後ずさりをした。
ていうか俺様って……
何と言うか、ドンマイな奴だな、バ会長って。
ていうか………何で会長は三橋にそんなに怯えているわけ?
「逃げないで下さいよ、会長。俺会長の事こんなに大好き(の反対)なのに」
「うるせぇ!お前俺様のことぜってぇ好きじゃねぇだろうが。気持ち悪いんだよ、いつもニタニタして人のツーショット写しやがって!」
写す……そういや三橋、副会長と黒マリモがキスしてるところをニヤニヤして写メってたな。
そういう行為、有名なんだ?
つー事は三橋、お前みんなに変態だと思われてんじゃね?
「……え?ちょっと真琴、俺の事そんなさげすむような目で見るなよ!胸が苦しくなる!」
「あ、ゴメン……」
出会ってまだ一日目だ、三橋。
お互い自分達の事を知らなすぎるようだな。
そう考えていると、突然ガシッと腕を掴まれた。
「見つけましたよ、山田 太郎くん……!」
「ヒッ」
きた、腹黒副会長。
「触らないで下さい、腹黒副会長」
「誰が腹黒ですって!?」
あ、やべ。つい漏らしてしまった。
腹黒副会長……何か長くて言いにくいな。
腹黒…ハラグロ……ハラグーロ…。
何かカエルみたいだな、むしろハラゲーロの方がスカッとするな。
「あなたって人は……!よくそんなに人をけなしたがりますね。そういうところも何故か惹かれますが!」
副会長はそう言うと俺に抱き着こうとする。
俺がそれをサッと避けると、ハラゲーロが転びかけた。
抱き着かれたらまた周りに非難くらうだろーが。
俺が副会長から距離を取って少し安堵したのも束の間、また別の方向からガシッと腕を掴まれた。
みんな強く握りすぎだ。腕に手の型つくじゃねぇか。
「とにかく!用があるのはお前じゃなくてやけどさせたコイツなんだよ。口出してくるな」
「おい、真琴に触んな!」
「お前、真琴って言うんだな」
「違います、彼は山田 太郎くんです!」
「大崎の許可なく、大崎の名前呼ぶなよ!」
「チッ、お前結局誰なんだよ」
副会長や黒マリモも参戦してきてかなり面倒な事になってきた。
あぁ、全てダメになってしまった気がする。
どちらにしろもう平穏な生活を送れないだろ。
手遅れだって。
こうなったらやけくそになってやる。
「おいお前、俺様の話聞いてんのかよ?」
「俺様俺様って、あんた何様ですか。言ってて恥ずかしくならないんですかね」
「……っ、余計なお世話だ!」
顔赤くするくらいなら最初から俺様なんて言わなきゃいいのに。
「フ、フン、じゃあお前のために"俺"に直してやるよ」
何急にデレてるんだし。
ていうかあんたが直したいだけでしょーが。
俺が小さくため息をつくと、バ会長がやけどしたらしい手を俺の口に近づけてきた。
……何?
「とりあえず舐めろ。そしたら許してやる」
……はぁ?
「嫌です」
「お前、俺の言う事が聞けねぇのか?」
「はぁ」
思い通りにならないからってすぐ短気起こすとか……世の中に出たらやっていけねぇよ。
会長は俺をしばらく睨みつけると、急に俺のあごをガッと掴んで顔を近づけてきた。
「その減らず口をふさいでやるよ。感謝しな、俺は何人抱いてもキスは殆どしねぇんだから」
「…っん……!?」
マジかよ。こいつも副会長と同じかよ……。
会長と俺の唇が重なった瞬間、悲鳴に似た声が周りから聞こえてきた。
色々終わったな、俺……オワタ……。
唇が離れてから精一杯殴ってやろう。
そう思ってたら、会長が俺の後頭部を押さえ込んで深いキスをしてきた。
「……んぐっ」
ぞりっとした感触と異物感。
気持ち悪い。苦しい。
その感情しかわかない。
ガチで抵抗してもびくともしなかったから会長の舌を思いっきりかじった。
──ガリッ
「……痛ッ!」
「う……ッ、おえぇっ!」
食事中すみません。
でも気持ち悪くて堪えられない。
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