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嫉妬(2/7)
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黙って俯いていると、旦那がタバコの煙をふーっとはく。そしてそのままタバコを地面に落とし靴底でもみ消した。
ポイ捨て…だめだよ?
顔をあげて千尋さんと目を合わせる。
俺が無言で訴えると、旦那が舌打ちをしてタバコを拾い、携帯用の小さい灰皿ケースにいれた。
「…これで気が済んだか」
「あ、はい」
旦那はため息をつくと上体をかがめて顔を近づけてきた。
俺の首筋の痕を這うように指で撫でてくる千尋さん。
「てめぇは俺のもんだって言っただろうが」
「…ごめ…んなさい。これ以上旦那の面を汚すことはしないから…」
「そういう意味じゃねぇ。……帰ったら覚えておけ。この不愉快な痕を俺がかっ消す」
「……っ」
耳元で囁かれた言葉を聞いて、嫌な汗が背中を流れ落ちる。
旦那の目がマジで怖い。それでなくても、目つきがかなり悪いのに。
キスマの痕、えぐりとられたらどうしよう…。怖いお。
旦那はバイクに跨ると、エンジンをかけて発進する。運転が荒い。ものすごく怒ってる。
千尋さんのことは好きだけど、笑ってる千尋さんのほうがもっと好き。
軽く唇をかみながら旦那の腰に回す腕にぎゅっと力をいれた。
目線(三橋 昴
みんなの視線が黒滝先輩へと集まる。
みんな=昨日の真琴の誕生会メンバー。バイクの後を車でストーカー中なう。
ちなみに、会話は真琴に超小型盗聴器をつけて盗み聴き。
真琴にキスマをつけるような人は、黒滝先輩しか考えられない。
みんなもそう思ったから、通称チャラ男会計を見たんだろう。
「どうしたんだい?みんなして。人のことをじろじろ見て気持ち悪いなぁ」
「ごめ…」
「相変わらずの毒舌ですね」
「俺様が今後あいつを可愛がろうと思ってんだ。手ぇ出すな」
副会長は眉をひそめたけど、ワンコ先輩はシュンと落ち込んでいる。
バ会長……真琴と何があった?
「真琴に痕をつけていいのは俺だけなのに。…いっそ俺が真琴に消えない痕(傷)をつけようかな」
「僕も…大崎の首筋に吸い付きたい…」
西條の発言がかなり危なく感じるから、全力で真琴を守ろうと思う。
あとチワワくんが何気に積極的だ。可愛い攻め…?
お、俺だってさ。真琴の首筋に噛みつきてぇよ!
でも一度噛みついたら抑制できずに最後までいっちゃうと思う。雄の本能的に。
「痕つけると、気分がいいよ。自分のモノの証みたいでね」
「真知!」
「ふふっ、そんなかっかしたらダメだよ、政司」
黒滝先輩は会長にそう言うと、運転手に車を停めるように指示する。
「僕、他に調べたいことができたから、別行動するよ。…おいで、優」
黒滝先輩がワンコ先輩に手を差し伸ばす。 が、ワンコ先輩は黙ったままで、その手を取ろうとはしない。
「…優?」
「……」
しばらく見つめあう2人。 黒滝先輩は一度目をふせると、再度ワンコ先輩を見た。
眉を少し落として微笑する黒滝先輩の表情は、切なげでどこか寂しい。
「…そっか。優はここにいたいんだね?」
「…ん。…ごめ……」
「お前が謝る必要はないよ。…優の人生は優のものなんだから」
黒滝先輩はそう言うと、車のドアを開けて降りる。
誰もが何も言えずにそれを見つめる中、ある人が口を切った。
「…私でよければ、付きそいましょうか」
まさかの副会長…!フラグ乱立ですか!?
副会長の言葉を聞いた黒滝先輩は、無邪気な微笑を浮かべて首を傾げる。
「…へぇー…どうしてそう思ったの?」
「そ、それは…か、貸しですよ…!別に心配で、なんて思っていませんから…っ」
うっはあああぅ!
副会長の顔真っ赤。ツンデレ美味しすぎる、ごちそうさまです。
「ふーん?それなら僕、君には借りを作りたくないから遠慮しておくよ」
「な…っ」
「じゃあねぇ」
「ま、待ってください!」
副会長は慌てた様子で車を降りると、黒滝先輩の手首を掴む。
「あぁもう、分かりました!本音を言いますよ…!あなた少し不安定なところがあるので1人にしておけないんです。ほっとけないんですよ。分かりますか?」
「……君、そんな可愛い子だったかな?」
黒滝先輩がそう言うと、副会長は少し頬に朱を滲ませるが、誤魔化すようにそっぽを向く。
「と、とにかくですね。あなたが嫌と言おうと、私は勝手に後ろを着いていきますから」
「僕は仲良く隣で歩くほうを希望するよ」
「…っ」
<●><●>
会計×副会長……斬新だが、何やらぷまそうな匂いがするな。
「…では、私達は行きますから。あとで大崎くんについて詳しく聞かせてくださいね、バ会長」
「あぁ…って、俺はバカじゃねぇ!」
「政司はアホだからねぇ。…また後でね」
「アホでもねぇ!って、真知、また後でってどういう意味だ…?」
「きっと落ち合えるよ。…じゃあね、優」
黒滝先輩が開いてる窓に手を伸ばしてワンコ先輩の髪を撫でた。
俺達の乗る車が走りだして、黒滝先輩と副会長の姿が遠ざかっていく。
ワンコ先輩は2人の姿が見えなくなるまで窓からじっと見つめていた。
何か…青春っぽい空気が漂ってるな。
それはさて置き、今までのやり取りでやっと生徒会メンバーの関係図が分かった。
会計>ワンコ先輩>副会長>バ会長…だ。
この設定だと、俺様会長が総受け。
じっと会長を見つめてると、目が合う。
俺がニタァ…と笑うと、会長がビクッと肩を震わした。
「な、なんだその顔。またよからぬことを考えてるんじゃないだろな…」
「み、三橋…どうしたの?」
「三橋…きも」
ニヤニヤする俺を見て、会長は怖がり、チワワくんはおろおろする。
西條は失礼なことを言って眉をしかめ、ワンコ先輩は窓に息をはいて落書きをしていた。
真琴は…誰にも渡したくない。
総受けなんて嫌だ。
真琴の大好きな千尋さんにも、負けたくない。
にやけていた頬を引き締め、バイクを追跡していると、とあるジムに着いた。
広いから、中に入ってもきっと真琴に気づかれない。
ジムに行くことはあらかじめ真琴から聞いていたから、俺達は着替えを持ってジム内に侵入する。
真琴と千尋さんは広いロッカールームで動きやすそうな服に着替え始めていた。
俺達も間に一列のロッカーを挟んで、着替えながら盗み聴きする。
「…真琴」
「なんですか?」
「そんな豪快に脱ぐな。他の奴に見られんだろ」
「もやし体型の男子高校生の裸なんか誰も見ませんよ」
「…いいから肌晒さねぇように着替えろ」
それを聞いた真琴は納得がいかない、とでもいうようにため息をつく。
そして、爆弾発言をした。
「俺、普通に脱いでるじゃないですか。
そこまで言うなら旦那が見本を見せてください」
「…俺はもう着替え終わった」
「じゃあ、俺の服を脱がしてみてください」
まままままことおぉお!!!!
脱がして…だと?天然誘い受けだ…。
分かっていない、真琴は。
自分が沢山の狼に狙われている羊だってことを。
俺達は叫びたくなるのを必死に抑えた。
本人はどう出るのだろうか?
アンサー。
「ああ、分かった」
なんだと……?
千尋さんはそう言うと、真琴の服に手をかけて剥ぎ取るように脱がした。
勢いよく脱がされた真琴は驚いて、パンツ一丁のまま(ちなみにトランクスだった、腐へへ)フリーズする。
しばらくして我に返った真琴は、裏返しになった服を拾って綺麗にたたみ始めた。
「旦那、この脱ぎ方だと逆に露出の機会が増えると思うんですけど…?」
「あぁ"?」
「あ、いや、だ、旦那に脱がされて光栄です」
「…バカなこと言ってねぇで早く行くぞ」
千尋さんはそう言うと真琴の頭をくしゃっと軽く撫で、ロッカールームを出て行く。真琴はその後ろを着いていった。
千尋さんという人……慣れてるな、真琴の扱いに。絶対今までも、さっきみたいな爆弾発言があったに違いない。
そう考えると…(理性を保つ)強い精神を持ってる人だな。でも負けねぇ…!
「……もっと腰を落とせ。ひざ曲げろ」
「は、はい」
「…ただ曲げても意味ねぇだろ。重心置け」
「すみません…」
……しごきがハードだ。
遠くから見てる俺達が苦しい気持ちになるくらいの運動量をこなしている。
真琴はすでに汗をだらだら流して息を切らしていた。
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