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ep1
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学校の屋上。
そこの柵の外に俺は立っていた。
なんでそんな所にいるかなんて言わなくてもわかるだろう。
自殺だ。
イジメから逃げたい、その一心でここに来た。
今はまだ授業中だから誰も屋上に来ないだろうしサボりだと思われて先生達も探しにこないと思う。
息を深く吸い込む。
緊張してる時のいつもの癖で眼鏡を指で押し上げた。
自殺するとは言え死ぬ事への恐怖心はあるので出来るだけ下を見ない様に足を前に出す。
無意識に力んでた体から力を抜いた。
後は真っ逆さまに落ちるだけ。
体をひどい浮遊感が襲って...
「は?」
ギュッと瞑ってた目を開ける。
「え?な、なん...!?」
なんで落ちてないんだ俺...。
片足は宙に出てるし体も全体的に前に出てて普通なら落ちてるはずなのにどういう事だ。
「ぐえ...!?」
混乱してる俺の襟首を突然誰かが思い切り引っ張った。
いや、引っ張られたというより引き上げられたのか...
俺の両足は最初にいた位置に戻されていた。
何が起きたのかわからず呆然とする。
「うーわ、危ね。おれ目の前で人が死ぬの勘弁なんだけど」
背後から声がしたのに驚いて後ろを見る。
赤紫の派手な髪色にピアスだらけの耳。
どっからどう見ても立派な不良が俺の腹に手を回した状態で立っていた。
「あんた、多田だよね?」
「......え?」
後ろからギュッと抱きしめられながら耳元で囁かれて混乱する。
「ヨイショっと」
「わっ...!?」
突然お姫様抱っこをされたかと思えば柵の内側に投げ出されてしまった。
混乱した頭で思い切り打ち付けた腰を啜りながら目の前の不良を見た。
「おれさー、男に興味あんだよね」
「はい...?」
「だからさ、契約しない?」
契約?
さっきまで死のうとしていた俺の脳はすっかり別のものにすり変わってた。
不良はしゃがみ込み俺に顔を近づけてにこっと笑った。
「おれがお前をイジメから守るからさ、おれと付き合ってよ」
それが俺...多田陸人と、藤吉蓮の馴初めだった。
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