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緊張8(雅side)
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翔さんが運転席に移動して車を発進させる。
俺が落ち着くまで握ってくれていた手も、綺麗でも優しくもない言葉遣いも、とても暖かくて、荒ぶる感情を鎮めてくれた。広い後部座席に深く腰掛けてぼーっと外を眺める。
一緒に居たくて食べられもしない物を食べたのなんて初めて
どういうプレイかも聞いてないのに自分から強請るなんて初めて
自分の仕事内容を話したのだって初めて
触られただけでイッたのも初めて
朝起きて、まだ帰らないで欲しいと思ったのも初めて
翔さんに好きだって言われて嬉しかった。それと同時に怖くもあった。父親の言う 好き や 愛してる はいつも俺の心を痛めたから。
オーナーを呼べと合われた時は、正直怖かった。俺にとって悪いことではないと言われたし、実際、多分あの仕事は辞められる。それでも、父親の生前、事ある事に嫌がらさをされたせいでひどい目にあった記憶は、簡単には消えない。
あの人が俺の過去を話し始めた時は逃げ出したかった。やめて、と叫びたかった。
父親に利用されてるなんて、薄々気づいていた。でも、それを突きつけられるのは嫌だったし、それを翔さんに知られるのは、もっと嫌だった。
脚がすくんで逃げ出せなくて、体が震えて声も出せなくて、いい歳して未だに父親に依存して、雅さんに呆れられるかと思った。
だけど、俺の手に触れた雅さんの手は温かくて優しくて。大丈夫って言われてる気がした。
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