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緊張9(雅side)
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手を引かれて、車に乗り込む。
翔さんの暖かさがもったいなさ過ぎて、与えられる優しさが辛くて、もういっそう、全部話して呆れられて、本当に独りになる方がいいと思った。
俺がいつもいる空間の方が、強がったり言葉を選んだりしなくていいと思って、俺の家に車を走らせてもらった。
途中でコンビニによってミネラルウォーターを買ってきてくれて「生きてるな。」と言って、頭を撫でられる。暖かい手。この暖かい手でこれから冷たく突き放されるのかと思うと、少し怖い。
「着いたぞ。ここで合ってるか?」
「合ってますよー。態々ありがとうございます。車はそこら辺の空いてるとこに止めちゃって下さい。」
「随分と立派なところに住んでるな。」
そうかなぁ。ただの、オートロックだけど。それに全部IHだから、停電になったら何も出来ないし。確かに教師の仕事だけで生活するのはちょっと難しいけど、立派ではないと思う。あぁ、引っ越さなきゃだ。
エレベーターで9階まで行って奥から2個目の扉の鍵を開ける。2LDKの無駄に広い部屋。ものが少ないから余計広く感じる。
「どぉぞー、ちょっと散らかってるかもー。」
まぁ、散らかってるって言ってもトランプとジェンガと本が何冊かローテーブルとその周辺に散乱してるだけだけど。
「ここに一人暮らし?すげぇな。」
「無駄に広いですよね。翔さん珈琲でいいですか?」
軽く片付けてから翔さんに珈琲を出す。
「雅、こっち。」
翔さんが買ってくれたミネラルウォーターをテーブルに置いて3人がけの黒いソファに2人で腰掛ける。
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