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恋スルキモチ 梶原SIDE 1
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梶原side
「あっつー・・・。」
校内の学力テストの期間中につき、選択授業の一部が潰れて自習時間となる。
担当の先生はこれ幸いと言わんばかりに冷房の効いた職員室から出てくる事はなく、もちろん生徒の誰も、勉強をする事はない。
外の明るさと室内の暗さが、色づいた夏独特のコントラストを生み、午後にはそれがピークとなるが三時間目の今はまだそれほどの変化はないものの、気温の上昇してくる一番鬱陶しい時間帯でもあった。
手元にあったノートで扇いではみても、女子の下敷き団扇の前にはただの役立たずでしかない。
汗が垂れるような感覚をごまかし頬杖をついて、二列離れたあいつに目をやる。
寝てるやん。このクソ暑い中よう寝れるわ。
教室内の騒々しさに苛立ちを含めたような顔しながら、それでも図太く眠る川本。
登校した時からある寝癖が未だに小さく存在を誇示していた。
アホみたいな寝癖やな。
アホやからしゃーないねんけど。
頬が緩みそうになるのを、頬杖をついた手で密かに堪え、内心で小さくため息を吐いた。
最近の自分はどこかおかしくなったのかと思う。気付けば川本を目で追っているのだ。始めは何か面白い事があるのではと追っていたはずなのに。
なんやねやろ、ホンマに・・・。
あいつの毒気に充てられてどっかおかしなったんちゃうか。
二年に進級して同じクラスになってからつるむようになった川本。第一印象は最悪だった。
一学年に五クラスある、うちの高校。一組と五組くらい離れていてもあいつの噂は届いていただろう。
入学初日に何かをやらかしたようで、職員室への呼び出しが朝から放課後までで計四回と異例の出来事。
文化祭では催し物を担当していたわけでもないのに、バンド出場の同級生や部活の先輩たちの呼び出しで何度も楽しそうに壇上へ上がっていた記憶もある。
お陰で名前と顔は一年生の頃から知っていた。
いつも騒がしく人の中心にいて、くだらないイタズラや学校中の話題に事欠かない存在。
一方俺はというと、無駄に伸びた身長くらいで他に秀でた何かもない。目立つ訳でもないし、全くと言っていいほど真逆に位置していた。
立場で例えるとしたら、あいつは人気アイドルで俺は一般人。ファンですらない。
俺とは無縁の人だと思っていた。
騒々しいのも苦手だし、理屈の通用しなさそうな頭の悪さも嫌いだったから、関わりたいと思った事もなかったが今にして思えば、そんな川本を心のどこかで羨ましく思っていたのかもしれない。
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