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スタートラインY その11
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部屋の入り口に着くとクラスメイトがもう部屋の外へ出ていて、扉の開いた部屋には片付けを始める店員がいた。
「梶原!」
フロントのベンチに座っていた島田が嬉しそうに走って近付いてきた。
「みんな二次会行くねんで!川村のバイト先の居酒屋確保したって。お前待っててん、はよ行こ!」
やたらとテンションの高い島田に腕を引っ張られる。
徒歩で10分ほどの居酒屋ゆうちゃんまでの道のりは全員がバラけつつ、ぞろぞろと同じ方向へ向かって歩く。
フラフラしている子を支えて歩く女子や、いつもより数段上のテンションでふざけまくる男子、帰路に就く女子、隠れて口説いてる男子。
俺は誰と歩いている訳でもなく、街灯を何度か数えて歩くうちに『帰ろう。』そう思い立って団体からすり抜けるように速度を落として路地を曲がった。
別に俺一人くらいいなくなってもきっと誰にも気付かれない。
何か言われたら、明日言い訳すればいい。
裏路地の近道を駆使して思わず歩調が早くなる。
出来るだけ遠く離れたかった。
路地の終わりで大通りに出れば、空は澄んで珍しく星がたくさん見えていた。
家にもしばらく帰りたくなかった俺は、そばに見えるコンビニで酒を買って近くの公園を目指した。
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