アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
スタートラインY その14
-
「・・・とにかく、怒ってへん。」
「目が怒ってるやん。」
「怒ってへんて・・・まだやんのか?」
「・・・。」
「・・・・・・・・・いや、多少は怒ってんのかもせぇへんけど、」
やっぱり怒ってるやんけ。
「なんやそれ。どっちやねん。」
川本をバカにしたように笑う。
川本の苛立ちを増長させてしまうような嫌な言い方をしてしまったと瞬間的に後悔したが、もう口から出てしまった言葉を消すすべはない。
川本は意外にも冷静な表情で、俺の頬を叩いた。
パンといい音を立てた割に全く痛くはないのに、なんで叩かれなあかんねん、と思うのと同時に川本との記憶や自分の感情が一気に頭の中を駆け巡り、いつの間にかポロっと目から何かが落ちていた。
「あ、あれ・・・?」
自分でも驚いて拭うが、引っ込めようとすればするほど溢れるように頬を伝う。
「・・・何泣いてん。」
「泣いてへんわっ。」
「泣いてるやん。」
「泣いてへんッ。」
目元を強く擦り誤魔化す。
川本は小さくため息を吐いた。
「お前飲みすぎや。意味分からん事言うて怒ったり笑ったり泣いたり・・・」
意味分からんのはこっちじゃ!
なんやねん。
こんなに好きやのに・・・。
手に入らない。届かない。伝える事すら許されない。
「・・・もう帰れや!」
放っておいてほしい。
すごくいたたまれなくて、八つ当たりしてしまうみじめな自分をこれ以上川本に見せたくない。
俯いて鼻をすする俺を見下ろす川本が、今度は俺を笑った。
「・・・何わろとんねん。もう帰れって。ホンマに、帰って・・・。」
「恋のお悩み炸裂やな。」
「そうやけど、もうええねん。終わってんねん俺のは!」
言って漕ぎ出そうとしたブランコは川本に鎖を握られて再び遮られた。
お互いの視線がぶつかる。
「・・・勝手に終わらすなや。」
「・・・・は?」
「勝手に終わらすなて。」
意味が分からなくて顔を覗き込むと、今まで見た事がないような苦しそうな川本の表情。
俺は気持ちを読み取れずに困惑した。
「川本・・・?」
首に手が回り、顎を持ち上げられてから、屋上のそれが一瞬でフラッシュバック。
「川も「うっさい。」
えっ、何?何?なんで?
遮られて思考がまとまらないうちに近付いた川本の唇が触れて、離れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 116